国際金融公社(IFC)との業務協力覚書を更新:開発途上国の民間セクターに対する協調投融資を促進

2022年9月8日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、9月7日、国際金融公社(International Finance Corporation:IFC)(注)と、途上国の民間セクターに対し、両機関で協調して投融資を促進するための覚書(Memorandum of Cooperation:MOC)を更新しました。署名はオンラインにて、JICAの中澤慶一郎理事とIFCのルース・ホロウィッツ副総裁との間で行われました。

途上国の社会経済開発における民間セクターの役割は年々大きくなっています。例えば途上国への資金流入量の内訳は、近年民間資金がODAなど公的資金を大きく上回っているほか、技術革新やデジタル化の進展等により企業のビジネスチャンスが広がり、民間部門の知見が途上国の開発課題の解決に活用できる余地も拡大しています。他方、足元では疫病の流行や国際情勢の不安定性が途上国社会経済に影響しており、途上国は依然膨大な開発需要を抱えています。

JICAとIFCは、途上国の開発需要に対応するため、2015年4月に基本協力協定(Master Cooperation Agreement:MCA)を、また2017年5月には業務協力覚書(Memorandum of Cooperation:MOC)を締結し、協力と連携を深めてきました。特にMOCでは、協調投融資案件における両機関の審査手続きの調和や定期的な協議を通じた意思疎通の強化など、案件組成・審査プロセスにおける連携強化策が盛り込まれたほか、協調投融資総額を5年間で15億ドルまで拡充することを目指しました。2022年5月までにJICAとIFCは総額約16.4億ドル規模の協調投融資を実現し、MOCの目標を達成しています。

今回更新したMOCでは、5年間で総額15億ドルの協調投融資を目標とし、協力分野についてはデジタル化やジェンダー平等の推進を新たに明文化し、プロジェクト開発の早期からの連携強化等を掲げています。

JICAは、引き続き途上国の民間セクターにおける資金ニーズに応えつつ、IFCなど他の開発金融機関とも緊密に協調しながら、開発課題の解決に貢献していきます。


(注)IFC
世界銀行グループの一員。途上国の民間セクターへの支援に特化した世界最大規模の国際金融機関。世界約100か国の民間企業との協力を通じて、極度の貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進するための支援を実施。