田中理事長がフィジーを訪問

2022年10月28日

バイニマラマ首相との会談

カイユム司法長官兼経済・公営企業・公務員・通信大臣との会談

研修施設視察 (太平洋地域ハイブリッド発電システム導入プロジェクト)

フィジー放送会社視察(中波ラジオ放送復旧計画)

フィジー気象局視察

協力隊活動視察

田中明彦JICA理事長は、10月15日から20日にかけてフィジーを訪れました。滞在中、バイニマラマ首相、カイユム司法長官兼経済・公営企業・公務員・通信大臣等と会談を行ったほか、ラウトカ、ナンディ及びナウソリにおいて協力事業の現場を視察しました。

フィジーには多くの地域機関及び国際機関の事務所があり、地域協力の中心的な役割を果たしているほか、太平洋島嶼地域に共通する課題の解決のためのハブとしての役割も求められています。また、フィジーを含む大洋州地域では、地震や津波、サイクロンといった自然災害が頻発しており、今後、気候変動の影響によりサイクロンや豪雨被害の極大化が懸念されることから、気候変動緩和・適応に対するニーズが高まっています。

バイニマラマ首相との会談で田中理事長は、フィジーが国際社会において地域共通課題の解決に向けたリーダーシップを発揮している状況も踏まえ、今後もフィジーの果たす役割を後押しする取り組みを実施したいとし、ODAを通じた日本とフィジーのさらなる関係強化を確認しました。バイニマラマ首相はJICAによるコロナ禍の協力を含むこれまでの協力に感謝を示すとともに、フィジー国内および地域共通の課題解決のために2国間の連携をさらに強化していきたいと述べました。

カイユム長官との面談で田中理事長は、人材育成の重要性や、複数のスキームを組み合わせた今後の協力について述べました。カイユム長官からは、災害時やコロナ禍において実施された円借款(注1)が、フィジーの急速な経済回復に大きく貢献しているとして謝意が示されたほか、日本企業との関係強化への期待、技術協力やJICA海外協力隊の重要性に言及がありました。

フィジー政府は、気候変動緩和のため2036年までに再生可能エネルギー比率100%を目指しており、多くの太平洋島嶼国も同様に再生可能エネルギーへの早期転換を志向しています。これを受けてJICAは日本の島嶼部での経験を踏まえた太平洋島嶼国に対する再生可能エネルギー分野への協力(注2)を実施しています。田中理事長は、JICAの協力により周辺島嶼国に対する電力技術者の育成研修を行うフィジー電力の研修所を視察し、フィジーを地域協力のハブとして太平洋島嶼国の人材育成に積極的に協力していくことの重要性を改めて確認しました。

また、フィジー気象局でサイクロンの監視や地域研修が行われている様子、フィジー放送公社送信所で離島の人々にまで災害情報を伝達するインフラが有効に機能している状況を視察し、サイクロンや豪雨、洪水等の災害リスクの削減に対する日本の防災経験に基づく取り組み(注3)の重要性を再認識しました。コロナ禍で中断していた協力隊派遣の再開第一陣として家畜飼育を指導している現場も視察しました。

JICAは引き続きフィジーや太平洋島嶼地域共通の課題解決に向けて取り組んでいきます。

(注1)「災害復旧スタンドバイ借款」、「新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援借款」(フェーズ1及び2)を行っています。

(注2)フィジーを含む太平洋島嶼国の再生可能エネルギー分野への支援として、JICAは技術協力「太平洋地域ハイブリッド発電システム導入プロジェクト」等によって、燃料コストの削減、電力の安定供給と温室効果ガスの削減、再生可能エネルギーの更なる導入促進に協力しています。

(注3)フィジーの防災分野への支援として、JICAは技術協力「防災の主流化促進プロジェクト」・「ナンディ川洪水対策策定プロジェクト」、無償資金協力「中波ラジオ放送復旧計画」・「気象観測・予報設備整備計画」等によって、防災政策立案や行政実施能力の強化、フィジー気象局の観測・予報能力や地域中核気象センターとしての能力強化、洪水マスタープラン策定、地震観測部門や消防局等の実務機関の能力強化等を行っています。