トルコ向け地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)討議議事録の署名:顧みられない熱帯病の制御強化に向けた研究を支援

【SDGsロゴ】すべての人に健康と福祉を

2023年1月6日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、2022年12月28日、アンカラ市にて、トルコ共和国政府との間で、地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)(注1)「トルコにおける顧みられない熱帯病、特に節足動物媒介性感染症制御に向けたワンヘルス的展開」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

本事業は、トルコのアンカラ県、イズミール県を拠点として、顧みられない熱帯病、特に節足動物媒介性感染症(Arthropod Borne Infectious Diseases:ABDs)のリーシュマニア症(注2)や、その他のABDsの伝播サイクルの解明、リスクマップの作成、新規検出技術の確立、新規リザーバー(保虫宿主)およびベクター(節足動物)制御技術の実証に向けた研究を、エーゲ大学および東京大学と共同で行うものです。

リーシュマニア症は、かつてトルコ国内の特定の地域でしか症例が報告されていませんでしたが、現在はほぼすべての州で感染が報告されており、4,000万人以上に感染リスクがあると危惧されています。近年は、毎年2,500例程度の症例が確認されており、ABDs制御に向けた対策が喫緊の課題となっています。また、リーシュマニア症の伝播サイクルを解明するための公的データがほとんど存在しないため、効果的な感染予防対策に向けてサーベイランス体制を整備する必要もあります。

本事業は、リーシュマニア症およびその他のABDsの制御技術の開発を通じて、トルコにおける様々なABDsの制御の強化に寄与するもので、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール3(すべての人に健康と福祉を)に貢献します。

案件の詳細は以下のとおりです。

【案件基礎情報】
国名 トルコ共和国
案件名 トルコにおける顧みられない熱帯病、特に節足動物媒介性感染症制御に向けたワンヘルス的展開
実施予定期間 5年間
実施機関 保健省公衆衛生総局、エーゲ大学
対象地域 アンカラ県、イズミール県
具体的事業内容(予定) 皮膚型/内臓型リーシュマニア症と種々のABDsの伝播サイクルにおける病原体、生物因子(ヒト、リザーバー、ベクター)に関わる検出技術の開発、両感染症のリスクマップの作成、両感染症の制御に有効な診断・制御技術の開発、両感染症対策ガイドラインの作成を行う。

(注1)地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)とは、環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症等をはじめとする地球規模課題に対応し、開発途上国の自立的、持続的な発展を支えるため、日本と開発途上国の大学・研究機関等が連携し、新たな技術の開発・応用や新しい科学的知見獲得のための共同研究を実施するものです。これにより、課題解決を進めるとともに、開発途上国の大学・研究機関等の研究水準の向上と総合的な対処能力の強化を行うことを目指しています。

(注2)リーシュマニア症は、世界保健機関(WHO)の定める顧みられない熱帯病に位置付けられ、リーシュマニア原虫に感染した雌のサシチョウバエにより伝播されることで感染する、節足動物媒介性感染症です。

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