JICAが出資する信託基金”LEAP”を通じた支援(海外投融資):インド・ムンバイにおけるコンテナターミナル拡張事業に対する融資

【SDGsロゴ】働きがいも経済成長も

【SDGsロゴ】産業と技術革新の基盤をつくろう

2023年1月23日

事業イメージ(写真提供:CMA-CGM)

2023年1月20日、アジア開発銀行(ADB)は、JICAが出資する「アジアインフラパートナーシップ信託基金(LEAP)」(注1)を活用し、インド共和国にて設立された特別目的会社であるNhava Sheva Freeport Terminal Private Limited(NSFTPL社)との間で総額13,100万米ドルの融資契約に調印しました。このうち、 6,960万米ドルはLEAPを通じて供与されます。

2020年以降、COVID-19による影響が世界的に波及し、需給のバランスが急激に変化したことによってサプライチェーンに混乱が生じました。また、コロナ収束に向かう現時点においても、人々の消費行動が変化したことから物流量は増加の傾向にあります。経済活動の回復とさらなる発展のためには、強固なサプライチェーンの構築が不可欠です。とりわけ、アジアと欧州等を結ぶ物流網の基点となるインドのコンテナ港においては、競争力の強化とターミナル運営の効率化が課題となっています。

本事業は、インドのムンバイ都市圏の一部、ナビムンバイに位置するJawaharlal Nehru Port Container Terminal(JNPCT)の改修・運営・保守を、NSFTPL社が受注した30年間の契約に基づいてPPP方式(注2)で実施します。これにより、港湾の混雑緩和による物流コストの削減や設備の電化による温室効果ガス排出量の削減に寄与します。本事業は、SDGsゴール8(働きがいも経済成長も)及び9(産業と技術革新の基礎をつくろう)に貢献します。

JICAはこれまで円借款・技術協力を通じて、デリー首都圏とムンバイ都市圏に位置するJNPCTの約1,500kmを結ぶ貨物専用鉄道西回廊の整備を支援してきています。今次、貨物専用鉄道に接続するJNPCTの拡張を行うことで、今後増加する貨物輸送需要への対応及び物流ネットワークの一層の効率化が図られます。これにより、デリー・ムンバイ間産業大動脈地域の広範な経済発展に寄与することが期待されます。

JICAは今後も各国・国際機関と協働し、「質の高いインフラ投資」を推進し、開発途上国・地域の経済社会開発に貢献していきます。

(注1)LEAP(Leading Asia’s Private Infrastructure Fund)は2015年11月21日に日本政府より発表された「質の高いインフラパートナーシップ」のフォローアップ施策において言及された信託基金です。アジア及び大洋州地域の質の高い民間セクターのインフラ案件を対象とし、民間セクターが官民連携パートナーシップ(PPP)等の様々な形態を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資による支援を行うものです。JICAは2016年3月にLEAPに対して15億米ドルの海外投融資による出資を承諾しました。LEAPは、アジア太平洋のADB加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによる幅広いインフラ事業を支援しており、支援対象分野は温暖化ガス削減、省エネルギー、良心的な価格での医療サービス等多岐にわたります。

(注2)PPPとはPublic Private Partnershipの略であり、インフラ事業において、官と民が連携して公共性の高い事業などをより効率的・効果的に行うことを目指すものです。