パレスチナ「中小零細事業者支援事業」に対する劣後融資契約の調印(海外投融資):初の海外投融資により中小零細事業者の金融アクセス改善に貢献

【SDGsロゴ】働きがいも経済成長も

【SDGsロゴ】産業と技術革新の基盤をつくろう

【SDGsロゴ】1パートナーシップで目標を達成しよう

2023年2月16日

署名式の様子

パレスチナ銀行の融資先で製造された飲料

パレスチナ銀行担当者と融資先企業経営者

国際協力機構(JICA)は、2022年12月12日、パレスチナ自治区の大手民間金融機関パレスチナ銀行(Bank of Palestine)との間で3,000万米ドルの劣後融資を供与する契約を調印し、2月16日に調印記念の式典を開催しました。本事業は中小零細事業者への融資に活用され、同地域の民間セクター開発に寄与します。

パレスチナでは中小零細事業者が企業数の97%、雇用者数の87%を占めており、パレスチナ経済において重要な役割を果たしています。他方、金融アクセスの不足が中小零細事業者を中心とした民間セクター発展の課題となっています。加えて、パレスチナの経済構造は脆弱で、銀行セクターには厳格な資本規制が敷かれており、銀行からの融資拡大の制約となっています。

本事業は、パレスチナ向けの初の海外投融資案件であり、またJICAにとって初の転換条項付き永久劣後融資(注1)という資本性の高い融資手法を用いた支援です。当該融資によりパレスチナ銀行の自己資本を増強することで、融資の拡大を通じて中小零細事業者の金融アクセス改善に貢献します。また、JICAがこれまで制度作りや人材育成を通じて取り組んできたパレスチナの中小零細事業者の発展を、資金面でさらに後押しすることが期待されます。

本融資は、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール9(産業と技術革新の基礎をつくろう)、及びゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)に貢献します。また、本融資は「2X Challenge: Financing for Women(2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス)」の適用案件となります(注2)。JICAは、今後もパレスチナを含め世界各国・地域における中小零細事業者等の金融へのアクセスの限られた人々に向けた金融包摂支援を継続してまいります。

(注1)「転換条項付き永久劣後融資」:債権回収できる順番が通常の融資と比べて劣後し、また一定の条件を満たした場合に普通株式に転換されるもので、借入人にとっては資本増強と同様の効果が得られる借入。

(注2)「2X Challenge: Financing for Women(2Xチャレンジ:女性のためのファイナンス)」:2018年6月のG7にてJICAを含む各国の開発金融機関が採択したイニシアティブ。女性の経済的エンパワーメントに資する案件に対して2020年までに30億米ドルの資金動員を図ることを掲げ、その倍以上である70億米ドルが動員されました。2021年には同取り組みを更に拡大すべく、2021年から22年の2年間で150億米ドルの資金動員を図る目標を設定しました。2Xは女性への投資の量及び効果を倍増させるという目標を示しています。