ブラジル向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:世界的流行を引き起こす可能性のある感染症の検知能力の強化に貢献

【SDGsロゴ】すべての人に健康と福祉を

2023年3月17日

国際協力機構(JICA)は、3月13日、ブラジリアにて、ブラジル連邦共和国政府およびオズワルドクルス財団との間で、技術協力プロジェクト「新型コロナウイルス感染症にかかるゲノム・モニタリング・ネットワーク強化プロジェクト」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。

ブラジルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいて、累計感染者数、累計死者数ともに甚大な影響を受けました。その他ジカ熱、インフルエンザ、デング熱、チクングニヤ熱等の感染症が度々流行を起こしており、黄熱、狂犬病等、致死率の高い感染症の発生も常時報告されていることから、ウイルス感染症への対応が公衆衛生上の最大の課題の一つとなっています。 COVID-19に関しては、次々と進化する変異株が出現していること、その他のウイルスが将来的に世界的流行を引き起こす可能性があることを踏まえると、ウイルスの変異をいち早く同定できるゲノム解析(*)を行うことは、より迅速で効果的な公衆衛生政策への活用や薬剤開発にとって必要不可欠です。

JICAは、医療分野の教育や研究、ワクチンを含む薬剤の開発・製造を担うブラジルの国立機関であるオズワルドクルス財団(以下、Fiocruz)に対し1980年度から1984年度にかけて麻疹・ポリオワクチン生産・品質管理等の技術協力を行ってきました。加えて、2021年度から2022年度にかけて新型コロナウイルス感染症の検査、診断、治療およびワクチン適応・開発並びに病態生理学に関する能力向上を図ることを目的とした技術協力プロジェクトを実施してきました。

Fiocruzは2020年3月にCOVID-19ゲノム・モニタリング・ネットワークを設立し、全国8か所のFiocruz ユニット(研究所)においてゲノム解析を行い保健省や州保健当局への情報提供等を行っている他、COVID-19拡大後は隣国の新型コロナウイルスゲノム解析を受託するなど、中南米・カリブ地域のゲノム解析の拠点にもなっています。 このため、Fiocruzのゲノム・モニタリング・ネットワークを強化することは、ブラジル国内のみならず、世界的流行を引き起こす可能性のある感染症の検知能力向上につながり、国内外の感染症対策に大きく寄与することが期待されています。


本事業は、ブラジルのウイルス感染症のモニタリングに関わる研究機関の能力強化に寄与するもので、SDGsゴール3(すべての人に健康と福祉を)に貢献します。 

案件の詳細は以下のとおりです。

【案件基礎情報】
国名 ブラジル連邦共和国
案件名 新型コロナウイルス感染症にかかるゲノム・モニタリング・ネットワークの強化
実施予定期間 48ヵ月
実施機関 オズワルドクルス財団
対象地域 Fiocruzアマゾニア、バイーア、セアラ、ペルナンブコおよびオズワルドクルス研究所(リオデジャネイロFiocruz内にある研究所)の担当州
具体的事業内容(予定) 本事業は、対象地域のFiocruzユニットにおいて、感染症関連ゲノムをモニタリングする仕組みの整備、ゲノム・モニタリングの重要性を示す日伯共同研究の実施、ゲノム情報の活用方法に関する両国間での知見の共有により、対象地域におけるCOVID-19およびその他の感染症に対する効果的かつ迅速なゲノム・モニタリング・ネットワークの確立を通じて、世界的流行を引き起こす可能性のある感染症に対する持続可能かつ迅速性の高いゲノム・モニタリング・ネットワークの強化を目指すものです。

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