事業の紹介

1. 開発の概況

シエラレオネは西アフリカに位置し、7,1740平方キロメートルの国土(北海道のおよそ0.85倍)に約760万人(2018)の人口を抱えています。2002年の内戦終結以降、年平均8%(2003-2013GDP成長率、世銀)もの安定した経済成長を達成してきましたが、2014年のエボラ出血熱の流行に加え、同国の主要な輸出産品である鉱物資源価格の低迷が重なり、同国の経済は停滞、2017年、2018年のGDP成長率はそれぞれ4.2%、3.7%(世銀)と低迷しています。一人当たりGNIについても500ドル(2018年)と改善はしてきているもののまだ低い状況にあります。主要開発指標も、初等教育の就学率(Gross)115%(UNDP)、乳幼児死亡数83.3人/1000人(UNDP)、平均寿命52.2歳等、内戦終結直後と比較すると著しく改善してはいるものの、人間開発指数は189か国中184位(UNDP, 2018年)であり依然として世界最低レベルから脱却できていません。2002年の内戦終結以降、継続して民主的な選挙を実施し、平和的な政権交代も実現するなど民主主義は根付きつつあります。しかし、鉱物資源に過度に依存した経済構造、高い失業率、脆弱な経済・社会インフラ、劣悪な行政サービス等、問題は山積しています。

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フリータウン

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フリータウン中心部

2. 日本の援助方針

JICAは以下のとおり(1)社会基盤の強化、(2)経済基盤の整備、の分野で協力を進めていきます。

(1)社会基盤の強化

以下の分野において、開発の担い手となる人的基盤の強化・開発環境の整備に取り組む。

1)保健・栄養

平均余命、5歳未満児死亡率、妊産婦死亡率、栄養失調関連指標等、多くの保健指標が極めて低い水準にあり、この改善のため、行政能力や保健衛生環境の向上に取り組む。

2)教育・職業訓練・行政能力強化

同国では、新政権の主要政策として初等・中等教育の無償化が進められている一方、教育の質の改善の必要性は極めて大きい。社会基盤となる人材育成のために、教育や行政の質の向上等に取り組む。

(2)経済基盤の整備

1)農業及び食料安全保障の取組推進

コメを主食とし、アフリカでも有数のコメ消費国である。アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)イニシアティブの対象国でもある同国では、政府がコメを重点農作物と位置付け、自給率及び生産性の向上に取り組んでおり、我が国の知見と技術力を活かし、特に同国の小規模農民の生産性・収益性の向上のための支援を行う。また、食料安全保障の観点等の状況に応じて食糧援助を実施する。

2)基礎的インフラの整備

経済成長及び公共サービスの提供に不可欠な基礎インフラは、内戦の被害等によっていまだ脆弱である。我が国は、これまでの復興プロセスにおける支援実績及び技術力を活かして、電力分野等の基礎的インフラ整備を支援する。