プロジェクト概要

ソロモン諸島国水道公社無収水対策プロジェクト

「ソロモン諸島国水道公社無収水対策プロジェクト」では、ソロモン諸島水道公社(SIWA)への技術指導を通じて同公社の経営改善を図ることで、首都ホニアラにおける安定的な水供給の確保を目指しています。

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漏水探知に係るOJT

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配水管理区域設定に係るOJT

プロジェクト名

(和)ソロモン諸島国水道公社無収水対策プロジェクト
(英)The Project for Improvement of Non-Revenue Water Reduction Capacity for Solomon Islands Water Authority

署名日

2012年7月27日

協力期間

2012年11月〜2016年6月

支援額

2.5億円

相手国実施機関

ソロモン諸島水道公社(SIWA)

対象地域

ホニアラ市(約78,000 人)

プロジェクトの背景と必要性

ソロモンでは1998年から2003年にかけての部族間抗争により、政府機関が正常に機能せず基本的な社会サービスも提供されない状況が続いて大きな経済的打撃を受けた。現在は、その直接的な影響からはほぼ復興したものの、道路、電力等の基礎インフラの整備は遅れたままであり、各種サービスの水準も低い状態に留まっている。

都市部上下水道事業の運営はソロモン諸島水道公社(SIWA)が行っているが、給水率が低く、経営状態が悪い。首都ホニアラ市の給水率は72%(2011年)に留まっており、またポンプ、パイプなどの老朽化により安定的な給水ができておらず、約2/3の契約者が一日数時間しか水供給が受けられない状況にある。また経営面については、経常収支は約59百万円の赤字(2010年)となっており、その原因としては無収水率(注)が高いこと(2011年:56%)、電気料金の負担が大きく、2012年3月現在、SIWAはソロモン電力公社に対し、約400百万円の負債を抱えていること、水道料金徴収率が83%(2010年)に留まっていること、などが挙げられる。

しかし、経営改善の重要な柱となる無収水対策のための計画は策定されておらず、地表に現れた漏水の連絡を受け、その修理に対応するのみとなっており、漏水探知はなされていない。またSIWA には無収水対策のための計画策定、漏水対策、不法接続対策等を実施することができる技術者が不足している状況である。上記の事情から、SIWAによる水道サービスの改善及び収入の増加は喫緊の課題となっている。

(注)無収水量とは、水道システムに投入された水量のうち、料金請求の対象とならなかった水量のことであり、パイプや配水池からの漏水に伴う物理的な損失水量や、違法接続や水道メーターの不備・不具合に起因する損失水量等が含まれる。無収水率とは、給水量に対する無収水量の割合を指す。

期待される成果と活動内容

上位目標

SIWAによる水道サービスが改善するとともに、ソロモンウォーターの水道事業収入が増加する

プロジェクト目標

2015年までにホニアラ市の無収水率が30%に減少するという目標を達成するよう、SIWA を支援する

期待される成果

1. 無収水削減に係る計画策定プロセスが体系化される
2. パイロットエリア及び漏水管理区域(LCZ:Leakage Control Zone)におけるプロジェクトを通して、 無収水削減に係る実施方法が確立される
3. 無収水削減が手法に従ってパイロットエリア及びLCZにおいて実施される。
4. 検針・料金請求に係る管理手法が改善される

活動内容

1-1. 無収水マネジメント・チームをSIWAに確立する
1-2. SIWAで現在実施されている無収水削減活動をレビューする
1-3. 配水管網の問題特定を含む水理解析を支援する
1-4. パイロットエリア及び配水管理区域(DMA:District Metered Area)を選定する
1-5. パイロットエリア及びLCZにおける無収水削減年次活動計画を策定する
1-6. パイロットエリア及びLCZにおける無収水削減活動の進捗状況をモニタリングする
1-7. 無収水対策の費用対効果を分析する
1-8. ホニアラ市全体の無収水削減に係る戦略実施(事業展開)計画を策定する

2-1. 無収水削減手法のマニュアルを作成される
2-2. パイロットエリア及びLCZにおける不法接続の正規登録数及び切断数が増加する
2-3. パイロットエリア及びLCZにおける新規接続数及び故障した水道メーターの交換数が増加する

3-1. SIWAの行うDMAの設定を支援する
3-2. SIWAの行うLCZの設定を支援する
3-3. GISを活用して、パイロットエリア及びDMAの配水管網図を整備・更新する
3-4. パイロットエリア及びDMAの分離化に必要なバルブ及び流量計を設置し、パイロットプロジェクト前の無収水率を算定する
3-5. OJTを通じて、パイロットエリア及びDMAの無収水の原因(漏水探知、不法接続、メーター関連の損失、水圧等)を特定する
3-6. パイロットエリア及びDMAの無収水削減工事(漏水補修、不法接続の正規登録、水道メーターの設置、水圧調整)を実施し、パイロットプロジェクト後の無収水率を算定する
3-7. パイロットプロジェクト結果を取りまとめた報告書(費用及び効果を含む)を作成する
3-8. 管路のシステム設計、敷設、配水管理の改善に係る助言を行う
3-9. パイロットプロジェクトでの経験、結果などを共有するためのワークショップを開催する
3-10. 無収水削減活動の土台となるDMAとLCZを利用した能力開発と訓練を実施する

4-1. 検針員の作業工程及び人員配置計画を策定する
4-2. 検針員を対象にして、検針手法及び給水装置の不具合や不法接続に対する報告手法に関する研修を 実施する
4-3. 顧客を対象にして、節水及び水道料金に関する広報活動を行う
4-4. 検針活動および請求書発送状況をモニタリングする
4-5. 各担当部署にモニタリング結果(給水装置の不具合や不法接続)を報告する