所長あいさつ

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セントルシアは、カリブ海の東インド諸島に位置する小さな島国で、日本の淡路島ほどの大きさです。JICAは、セントルシアに事務所を置き、カリブ海東端から東南端に位置するいわゆる小アンティル諸島の島嶼8カ国(アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネ-ヴィス、ドミニカ、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、バルバドス、グレナダ、トリニダード・トバゴ)と南米大陸に位置する2カ国(ガイアナ、スリナム)の計10カ国の事業を兼括しています。1960-80年代にかけ旧宗主国である英国(スリナムのみオランダ)から独立した歴史の若い国々が占めており、カリブ共同体(CARICOM)などの地域連合体に加盟し、国としての脆弱性を乗り越え、地域としての発展を目指しています。

東カリブは、珊瑚により形成された島もあり自然豊かな美しい地域ですが、大西洋で発生する低気圧やハリケーンの通り道となることが多く、また、カリブプレートと南アメリカプレートの境界に位置する関係で火山島が多いのも特徴です。自然災害の脅威という点では、日本との共通点も多い地域といえます。各国の国土、人口、経済規模は小さく、観光業、農業、水産業に多くを頼る構造を有しています。これまで、JICAは主に施設整備や技術協力を通じ、水産分野での支援を多く実施してきました。支援した施設の中には、現地で「リトルトーキョー」と称され、親しまれているケースもあります。

一方、概して狭隘な海洋国家から成る東カリブ諸国は、外部経済環境、自然災害に対し至って脆弱です。また、海洋資源の保護やごみ処理問題等、環境保全対策も急務です。近時、JICAセントルシア事務所は、島嶼国として共通するこうした脆弱性への対応を重視し、防災、環境(エネルギ-の効率化を含む)、水産を重点として、国を超えた広域案件を中心に事業を展開するとともに、本邦研修やボランティア事業で、これら分野に加え、「誰1人取り残さない」開発の視点から、社会的弱者支援にも力を入れています。

「カリブ」は、楽園としての憧れとともに馴染みのある地名ですが、構成国の詳細まで知る日本人は少ないのではないでしょうか。実は逆もまた真なりで、当地域の人々の日本の認知度は低いのが現状です。かくいう自身も、まだまだこの地域の深奥を極めたわけではありませんが、技術協力プロジェクトや資金協力のみならず、本邦研修やボランティア派遣など日本の知見を活かした草の根事業を通じ、東カリブと日本の紐帯を強めていくよう微力を尽くしたいと思っています。皆様におかれましては、叱咤激励のほど、よろしくお願い申し上げます。

セントルシア事務所長
小林 勤