第1期生 学生から社会人へ

2019年9月25日

2017年9月に「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム」の第1期生19名が来日してから2年が経ちました。それぞれの大学院のカリキュラムのもと、日々学業に励んでいます。そうした中、今年の夏に修士課程を修了し、日本の企業で働き始める研修員が4名います。今回はその4名の研修員の来日後の2年間の努力の様子や今後の展望について、ご紹介します。

A.A.さん(男性)

2年前来日した時は、新しい環境にとてもワクワクしていました。来日してから難しいと感じたことは、日本語の習得でした。大学での授業は英語で行われていたため、授業は理解できたのですが、一方で日本語の単語や文法の勉強が出来ても、会話の練習の機会があまりなかったためです。しかし来日してしばらく経った頃、ある日本人家族と出会い、彼らとの交流のおかげで日本語が上達していきました。

修士課程修了後は、IT企業で自身の専門のAIを活かした仕事に携わる予定です。就職を目前に控え、気持ちが大きく高まっています。

A.H.さん(男性)

2年前、それまでの生活では成し得なかったことが出来るようになるとの思いと希望を胸に、来日しました。同時に文化の違いや日本語の難しさに対する不安も感じていました。しかし、こうした不安は、時間が経つ中、笑顔でコミュニケーションをとれば問題ないと感じるようになり、解消されていきました。学生生活や日常生活を通じて感じたのは、日本は平和で安全であること、日本人が勤勉で穏やかなことです。また、言葉の上達などを通じて、自分に自信をもてるようにもなりました。間もなく日本の企業に入社し働き始めます。会社に貢献しながら、引き続き日本での生活を続けていきたいと考えています。

A.B.さん(男性)

来日してから戸惑ったのは、文化の違いや日本語の難しさでした。また当初は1人きりの生活に慣れることも必要でした。しかし、国際学生寮での多様な人たちとの交流や、日本語を学び始めたことで、生活しやすくなり大変充実した時間を過ごすことができるようになりました。また、日本をよく知りたいと思い、日本人の友人と様々な土地を訪れました。苦手であった刺身も食べられるようにもなりました。

学生生活を終えるまでに働き先を決めるべく、就職活動にも力を入れました。自国と大きくことなる日本での就職活動においては、周りの方々から様々なサポートを得て、求人情報の集め方、履歴書の書き方、面接での応対などについて教えてもらいました。その結果、自身の専門を生かせるソフト開発を行う企業に就職することができました。今後日本語をさらに磨いてクライアントと日本語でやりとりを行い、職場で活躍していきたいと考えています。

ガイス・アッゼーンさん(男性)

この2年間を振り返ると、まず、来日できたことが大変な幸運でした。関係者の皆様に感謝しています。

大学院においては、学生のマナーがよいことに感銘を受けました。学業については、それまでに経験した受け身の学びとは異なっており、日本の大学院では先生の指導を受けつつ、学生自ら考え自主的に取り組む重要性を学びました。

その他、この2年間の日本における生活を通じて感じたのは、自分の行いはまた自分に返ってくること、努力していると周りの様々な方々が自分を励ましてくれることでした。こうしたことが、私の内面の変化にもつながったと考えています。

この秋から、日本の企業でエンジニアとして勤務します。将来的には、日本で博士号を取得し、その後シリアに戻りたいと考えています。平和復興のためには次世代のシリア人を育成することが必要であるため、シリアに大学を作り、教鞭をとりたいと考えています。

【画像】

談笑するガイス・アッゼーンさん(奥)とA.A.さん(手前)

上記4名は就職を機に、JICA研修員としての身分は終了します。

今後は、まずは日本企業の社員として、2年間で学んだことを糧に会社や社会で活躍してくれること、また将来的にはシリアの復興ならびに日本とシリアの架け橋のための先導者となってくれることを願っています。

(注)4名へのインタビューは2019年8月に実施しました。