コロナ禍で奮闘するJISR卒業生-日本企業への就職、そして将来への想い-

2021年1月22日

本プログラム終了後、2019年秋から日本企業で働くAさんは、現在自動車の生産工場で正社員として勤務しています。入社当初は複数の部署を異動して様々な業務を経験し、試用期間終了後、現在の部署で勤務を開始しました。Aさんの職場では、日本人と外国人が勤務しており、多国籍のチーム構成となっています。そのため、多様な人々が勤務する環境へ順応していくことが重要であったと話してくれました。Aさんは、時間や約束を守るという基本事項を徹底し、チームワークを大切にすることで、業務の成果を上げ職場に貢献できるよう、日々業務に取り組んでいます。日本語の上達や、慣習への理解の深化など、課題を感じることもありますが、日々の職務を通じて、職場内における人間関係、信頼関係を時間をかけて醸成していきたいと語っていました。

新型コロナウィルスの影響により、社会全体としては経済活動や雇用が不安定な状況であると感じているようですが、このような状況だからこそ、目の前にある自身の職務を果たすことで地に足を着けて生活し、安定した生活を確立していきたいとAさんは話します。これは、Aさんが来日前に治安や生活への不安を感じながら生活していた時期を経験しているからこそ、日本では平和や安全を感じながら安心して生活できることへの感謝と、日々努力し続けることの大事さを忘れないで生きていくという覚悟の現れでもあります。

日本での生活は安心、安全ではあったものの、Aさんは来日当初、母国と日本の文化の違いや日本語の難しさから、日本での生活に不安を感じていました。しかしながら、卒業時のインタビュー(2019年9月25日付HP記事「第1期生 学生から社会人へ」)でも語ってくれていたように、こうした不安は、学業や生活の様々な場面において笑顔でコミュニケーションを取ることを心掛けたことで、解消でき、日本での生活にて適応するとともに自分に自信が持てるようになったと話していました。また、学位取得と同時並行で就職活動を行うことには、決して容易ではありませんでしたが、自身ができることが何かを考え、チャンスを最大限に生かしチャレンジしていく前向きな気持ちで努力を続けた結果、内定を勝ち取ることができました。Aさんは、学生生活でも、就職活動でも、そして社会人となった今でも、環境に柔軟に適応していくことの重要性を強く認識しているとともに、大学院での成功体験が、今の職場でも活かされ、困難な状況になっても乗り越えていく力となっていると感じています。

今自身がなし得ることを精一杯努力することを続けると同時に、中長期的なキャリアプランも描き、将来を見据えているAさん。大学院ではMBAを専攻していたことから、今後MBAの博士号を取得することでより知識を深化させ、将来的にはそれらを活かし日本と世界を繋ぐ架け橋になるようなビジネスを展開していきたいと語ってくれました。生活基盤を固めながらしっかりと将来を見据えているAさんの、今後の益々の活躍を期待しています。

(注)Aさんへのインタビューは2020年8月に実施しました。