所長あいさつ

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「世界の屋根」とも呼ばれるパミール高原を抱えるタジキスタンは、国土の93%を山岳地が占め、壮大な大自然と豊富な水資源を誇る美しい国です。そこにはソ連時代のロシア語の他、ペルシャ系のタジク語、トルコ系のウズベク語やキルギス語、パミール系諸言語などさまざまな言葉を話す人々が、美味しいタジク料理やそれぞれのカラフルな民族衣装、古代ゾロアスター教の風習とイスラム色を並立させた年中行事など、伝統を重んじた生活をしています。国民の約7割が30歳以下という若い国家でもあります。
また、タジキスタンの人々はとても親日的で、日本人には敬意と好意を示してくれるばかりではなく、その来訪を心待ちにし、旺盛なホスピタリティでもてなしてくれます。

ソ連からの独立直後の1992年から1997年まで人々を苦しめた内戦の爪痕は、街中を見渡す限り全く見られなくなりましたが、人々の心の中には「戦いはもう二度としてはいけない」という確固たる信念が根付き、それが現在の平穏な暮らしに結実しているのだと感じます。小職が初めてドゥシャンベを訪問した2002年から約15年になりますが、その間の発展ぶりは目を疑うほどで、まるで別の国に迷い込んだようです。
しかし、綿花モノカルチャーから多様な農業への転換を図っている地方では、貧困や雇用不足などからロシアなどへの出稼ぎ移民が後を絶えず、その送金が家族と国全体のGDPの3分の1を支える脆弱な経済構造から抜け出し切れていません。2000年代の急速な経済回復を経て成長の軌道に乗った現在も、市場経済の深化に向けた行政制度改革やソ連時代の老朽化したインフラの改修・維持管理、保健医療など社会セクターの改善が引き続き課題となる中で、政府はSDGsとも整合させた2030年までの国家開発戦略(NDS2030)を策定して、投資受け入れや中小企業・起業家支援による産業・民間セクターの発展を通じた雇用創出と貧困削減に力を入れています。

従来からタジキスタン政府のこうした取り組みを支援してきたJICAは、日本政府とも歩調を合わせて、NDS2030の実現に貢献すべく協力方針の拡充を進めています。
また、2017年に日本と外交関係樹立25周年を迎えたタジキスタンは、進出した日本企業が0.5社(JV1社)、観光客を含む日本人の年間来訪者数が2016年度に1000名に達したばかりと、日本との関係はまさにこれからのフロンティアです。
小職もタジキスタンの人々に見習って、日本人のご来訪者や新たな日本企業の進出を後押ししていきたいと考えています。

これをお読みの皆さまも、ぜひ一度タジキスタンの粗削りの魅力に触れてみて下さい。
また、既に訪れたことのある方もぜひもう一度、今度はご友人をお連れになってお越しいただき、タジキスタンの変貌ぶりをぜひその目で確かめてみて下さい。
ドゥシャンベで皆さんのお越しをお待ちしています。

JICAタジキスタン事務所長
田邉秀樹