所長あいさつ

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JICAタンザニア事務所長の長瀬です。よろしくお願いいたします。

2000年以降、インフレ率を低く抑えながら年平均7%程度の成長を遂げてきたタンザニア。IMFも、マグフリ政権の1)緊縮財政、2)貸出率の低迷、3)公的投資事業の遅れ、4)民間セクターに存在する政策への懸念を表明しつつも、タンザニアの経済成長は依然として力強いとしています。5000万人程度の人口の増加率も年2.7%と高く、これが将来購買力を持つと非常に魅力的なマーケットになります。タンザニアと言えば「キリマンジャロ登山」とか「セレンゲティのサファリ」とか「ザンジバル島の青い海」とかを連想される方も多いでしょうが、豊富な観光資源だけがタンザニアの全てではありません。

そういうタンザニアに、新興国等の後塵を拝している日本企業にも、是非積極的に進出してきてもらいたいです。ポイントは、ありきたりですが、タンザニアに根付いた事業を展開し、タンザニアが欲しているものを如何に効率的に提供するか、ということだと思います。その際、毎年着実に増えつつあるABEイニシアティブ卒業生、そして過去50年に渡りタンザニアの草の根レベルで活動してきた累計1,500名以上の協力隊員OB/OGが、両国間の橋渡し役として活躍してくれることでしょう。

タンザニアも一般犯罪の発生率は決して低くは有りませんが、政治的に安定しており、三選禁止である大統領の任期の2期10年毎に平和な政権交代が行われています。約130もの部族を抱える国が何故、と疑問に思われる方も多いでしょうが、初代ニエレレ大統領が少数派のスワヒリ語を公用語としたり、政権内の枢要なポストを色々な面からバランスよく割り振る先鞭を築いたり、そういうタンザニアが一国としての纏まりを維持するために実施した政策が今迄受け継がれ、功を奏しているのだと言えます。

一方で国土は日本の2.5倍、物流の基本となる道路も舗装率は国道で漸く60%程度であり、地方道路は殆どが未舗装のままです。電力需給も逼迫しており、電化率は未だ40%程度です。給水率も56%止まりで、サブサハラ・アフリカの平均値を下回ります。妊産婦死亡率398(出生10万対)に象徴されるように、医療事情も残念ながら十分な水準とはいえない状況です。一人当たりGDPこそ1,000ドル程度まで伸びてきましたが、それに伴い下水・廃棄物処理等の都市問題、農村部と都市部との格差が拡大しつつある問題など、新たな課題もクローズアップされつつあります。

マグフリ政権下の第2次5か年計画が掲げる「産業化(Industrialization)」が、このような課題を解決する一助となるのか。国の威信をかけた各種大規模プロジェクト、更には過去の政権が無しえなかった首都機能のドドマ移転が、タンザニアを次の成長のカーブにのせてくれるのか。腐敗撲滅、歳入基盤の強化を進めつつ、慢性的な「ヒト・モノ・カネ」不足を解決するような高い付加価値を生む産業を育成することができるのか。こうした中で、タンザニア、アフリカ、そして日本のためにJICAとして何ができるか、最善を尽くしたいと思います。

最後となりましたが、敷居の低いJICAタンザニア事務所を目指します。どなたでも気楽に声をかけて下さい。少しでもお役に立てるよう、努力する所存です。

JICAタンザニア事務所長
長瀬 利雄