農業開発/農村開発

農業セクターはタンザニアの経済成長において重要な役割を担っており、雇用の約65%を占めています。また国内総生産(GDP)の約28%、輸出額の約24%を占め、国の食料安全保障を確保しています(第三次5ヵ年開発計画)。しかしながら、これはタンザニアの3分の2の人々が、GDPの3分の1しか生産できていないことを意味しています。

都市部の貧困率は16%であるものの、地方の貧困率は未だ31.3%と高く、農業開発は経済成長だけでなく、貧困削減にも貢献しています。一方、ここ数年間の農業成長率は年間4~5%と目標値である6%に届かず、また貧困削減も低迷していると言えます。

このような背景のもと、タンザニア政府は農業開発の枠組みとして農業セクター開発プログラム(ASDP)を策定し、同プログラムのもとで農業開発を推進しています。JICAはASDP策定に貢献した開発パートナーの1つとして、ASDPの効果的な実施と強化に対し、財政的・技術的支援を行っています。タンザニア政府は、1)持続可能な水と土地利用管理、2)農業生産性及び収益の向上、3)商業化と付加価値化、4)セクター間連携、モニタリング・評価、を重点分野として同プログラムの第2フェーズ(ASDP2)(2017/2018 - 2022/2023)を策定し、実施しています。

また、タンザニアはアフリカ稲作振興共同体(CARD)の第一グループ国のひとつであり、アフリカ地域における稲作振興に貢献しています。政府は国家稲作開発戦略フェーズ1及び2(NRDS1&2)を策定し、NRDS2では2030年までにコメ生産量を現在のヘクタールあたり2トンから4トンに倍増させるといった目標を掲げています。CARDとNRDSの実施促進にあたり、JICAは灌漑開発、人材育成、灌漑・天水稲作栽培技術の普及等を推進しています。

JICAはタンザニア政府の優先事項にそって、農業セクターの産業化・商業化を推進しており、タンザニアの経済全体の成長に貢献しています。その一例として、現在実施中の「SHEPアプローチを活用した県農業開発計画実施能力強化プロジェクト」では、農家に対し「作って売る」から「売るために作る」への意識変革を起こし、営農スキルや栽培スキル向上によって園芸所得向上と能力強化を図っています。また、農業開発銀行にアドバイザーを派遣し、農業金融の促進にも取り組んでいきます。