日本の高校生がタンザニアの開発について考える(神奈川総合高校):タンザニア事務所所員キャサリン・シリマさんとのビデオ交流学習

2021年6月9日

2021年5月7日、神奈川県立神奈川総合高等学校のグローバル学習の授業でタンザニアを題材とした学習が行われ、本事務所の所員シリマさんからビデオメッセージが届けられました。

学習をより深めるため実際のタンザニアの様子を伝えたい、というご担当の先生の熱い思いに応え、シリマさんが自身の出身地キリマンジャロ州モシの様子を語りました。授業は普段多くを英語で行っているということで、メッセージはすべて英語で届けられました。

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村にとって必要な援助は何か

授業を担当された黄金井先生は、2015年にJICA横浜が主催した教師海外研修に参加した時にタンザニアを訪問されました。研修中、キリマンジャロ州モシの村を訪れたこともあり、「モシの村を発展させるための援助をひとつ選ぶとすれば何か」というテーマを取り上げられました。

27名の生徒さんが受講するこの授業では、英語でポスターを作成したり、ディスカッションをしたりして内容について考えを深めてきたそうです。例えば、水を援助として選び、水が命にかかわる問題であるとともに女性や子どもが運搬に使う時間や労力の削減につながる点も考えた意見や、水は村に井戸があるのでそれよりも水の浄化もでき、教育にも役立つ電気を選ぶという意見など、頂いたレポートの中に様々な意見がありました。みなさんが真剣にこの題材について考え、授業に取り組んだ様子が伝わってきます。

タンザニア所員シリマさんからのビデオメッセージ

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今回の課題は、水、道路、電気のなかから必要な支援を選ぶというもの。課題について真剣にディスカッション。

シリマさんはJICAタンザニア事務所に18年間勤務しているベテラン所員です。普段は、JICA海外協力隊事業にかかわる仕事を行っていますが、キリマンジャロ州の農村出身であることから、今回のビデオメッセージ作成に協力してもらいました。

ビデオでは、村の道路、水、電気の状況や医療、教育等の現状等について伝えました。自身の出身地は山からの湧き水があり、水が豊かな土地であったこと、一方で乾燥地では水の確保に苦労している点など、その村々で状況が異なることもわかる内容となりました。

今回のシリマさんからのビデオメッセージについて生徒の皆さんからは、大変学習の役にたったとのお礼とともに、タンザニアにいつか行ってみたい、またJICAの事業にも興味が沸き将来かかわってみたいなどのメッセージも頂きました。

自分たちの考えを発表

「水」、「電気」以外の「道路」を必要な援助と考え、街へのアクセスがよくなり教育、商売、仕事の面での効果や流通など経済面へのメリットを取り上げる意見もありました。

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多様な視点から考えることの大切さ

黄金井先生はこの授業で、多様な視点から物事を考えること、またその国の文化や特徴に配慮した海外支援の在り方について気づき、考えるきっかけとすることを目標とされていました。これは先生自身の教師海外研修での気づきだそうです。感想やコメントから神奈川総合高等学校の科目「グローバル学習」で学んだ生徒さんたちはその点、大きな成果があったようです。コメントでは、私たちが考える支援は本当にタンザニアの人が望んでいるものなのか、押し付けの援助はその国の文化を壊してしまうのではないか、自分たちは固定観念にとらわれているのではないのか、という言葉が並び、多くの気づきがあったことが読み取れました。

このような学習を通してこれからもタンザニアやアフリカに関心を持ち、いつかこの地を訪れてくださることを期待しています。最後にシリマさんから高校生へのメッセージです。「将来の目標を定め、それに向かって努力し夢を実現してください。」