所長あいさつ

トンガは、1970年に独立した南太平洋の王国です。日付変更線のすぐ西側、南緯20度付近で南北600キロメートル、東西200キロメートルに約170の島群が広がり、人口は約10万人です。年間平均気温24℃、年間降水量1700ミリメートルと温暖な気候ですが、サイクロンや地震など自然災害は多く、ドイツの援助救援団体が発行する世界リスク報告では、世界で2番目に災害被害リスクが高い国とされています。

トンガの人々は、朗らかで明るい国民性を持ち、多くが敬虔なキリスト教信者です。教会活動が社会に幅広く根付いており、日曜は教会で礼拝が行われ、商業活動などは原則禁止されています。

【画像】

トンガは日本と長年にわたり友好的な関係を築いています。王室と日本の皇室とは密接な交流を持ち、特に、先々代の国王ツポウ4世は、トンガの教育にそろばんや日本語に取り入れ、相撲、ラグビーなどのスポーツ交流を発展させるきっかけを築かれました。

JICAは、この地で、そろばんや日本語を含む教育、農林水産業、保健・医療、交通インフラ整備などの分野に、ボランティア派遣や技術協力、無償資金協力などの開発支援事業を長年続けており、最近では、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギー開発、自然災害から人命を守る早期警報システム整備にも取り組んでいます。

日本からのさまざまな支援はトンガの人々に高い評価をもって受け止められており、青年海外協力隊をはじめとするボランティアの活動は、日本とトンガを結ぶ大きな懸け橋となっています。

2020年以降、トンガは、商用航空便の停止など厳しい入国制限を導入することで新型コロナの感染流入を防いでいます。観光業などトンガ経済は厳しい環境におかれ、開発関係事業も難しい運営が続きますが、先人たちが築き上げてきた信頼を損なうことなく、キャプテン・クックが「友情の島」と記したこの国のよりよい未来のために力を尽くしていきたいと考えています。

2021年11月
トンガ支所長 高島宏明