秋篠宮皇嗣同妃両殿下がJICA海外協力隊の帰国隊員とご接見

2020年11月27日

派遣国での約2年にわたる活動を終え、帰国したJICA海外協力隊の隊員代表が8月25日、秋篠宮皇嗣同妃両殿下からご接見を賜りました。今回は新型コロナウイルス感染予防のため、オンラインでJICA本部、JICA関西を結んでのご接見となりました。鈴木規子JICA理事、小林広幸青年海外協力隊事務局長同席のもと、アフリカ、アジア、中南米の国々に派遣されていた4名が両殿下にそれぞれの活動を報告しました。

栄養改善の啓発や児童養護施設での活動に携わる

地元NGOメンバーと一緒に実施した小学校高学年クラスでの栄養改善の啓発活動。右端が小林さん

小林 佑輔さん(職種=コミュニティ開発、35歳、東京都出身)はベナンの最大都市コトヌーから車で7時間ほどのバラクー市にある福祉センター(日本における市役所の福祉課)に所属し、栄養改善の啓発をはじめ、児童養護施設での活動など社会的弱者に目を向けた取り組みを実施しました。栄養改善活動では、現地NGO団体との連携を進め、6つの小学校の高学年クラスを対象に啓発活動を実施して、活動報告書を作成。NGOメンバー、職場の福祉センター、パラクー市を管轄するボルグー県の福祉当局にこの報告書を共有しました。

環境NGOでごみゼロ活動を実施

北京で実施されたマラソン大会で、気温40度を超えるなか、ごみゼロ活動を実施する秋吉さん(右)

秋吉 楓さん(職種=環境教育、28歳、福岡県出身)は中国の首都北京で長年活動する環境NGOに配属されました。中国国内の音楽イベントでは、日中のNGOとともに、両国の若者協働によるごみゼロ活動を実現。そのノウハウを活かして複数の大型イベントでごみゼロ活動や日本のエコへの取り組みを視察するエコツアーの企画を行なうなど、自身のアイデアや橋渡しによって配属先に数々の取り組み事例をもたらしました。

教員や児童への音楽教育を実施

ラボリー小学校の3年生のクラスで、リコーダーを初めて手にする児童に指導する田村さん(中央)

田村 尚也さん(職種=音楽、31歳、兵庫県出身)はセントルシア南部のショゼールにある第7教育分所に所属し、区内の学校を巡回しながら教員、児童へ音楽教育を実施しました。歌いながら体を動かすリトミック、リコーダーや鍵盤ハーモニカの楽器指導を行ったことで児童の表現技能や音楽への興味関心が高まりました。また、現地の制度を利用して音楽の教科書作成といった活動のほか、在日本大使館の草の根技術協力制度を活用し、近隣小学校のトイレ設備やランチルーム等の建設支援を通した児童の衛生環境改善を図るなど、音楽教育以外にも地域に大きく貢献しました。

美容を通じて地域社会に貢献

サンファン日系移住地にて、高齢者に向けた認知症予防のためのセルフメイク講座を実施する松尾さん(中央)

松尾まどかさん(職種=美容師、38歳、大阪府出身)はボリビア第2の都市であるサンタクルス市内の職業訓練校の美容科に配属されました。前任者の活動を引き継ぐ形で教科書や指導書の改善、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)への指導の質の向上に関わりました。配属先以外でも、がん患者の治療施設などで、生徒の課外活動の充実に向けた協力を行うなど、美容を通じて地域社会への貢献にも尽力しました。

ご接見では、それぞれの任地での課題や、現地の関係者と協力して取り組んだ過程、そして、その成果について、両殿下にご報告させていただきました。また、帰国後の仕事や進学についてもお話が広がり、2年間の協力隊活動が現在につながっていることもお伝えしました。両殿下は熱心に温かく耳を傾けてくださり、コロナ感染予防のためオンラインでのご接見ではありましたが、参加者は終始和やかな雰囲気の中でご報告を終えることができました。