天皇皇后両陛下が帰国したJICA海外協力隊(青年海外協力隊員、日系社会青年ボランティア)とご懇談

2020年12月15日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国したJICA海外協力隊(青年海外協力隊員と日系社会青年ボランティア)の代表が9月18日、赤坂御所で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

1965年に青年海外協力隊が発足した当初から今日に至るまで続いている帰国隊員のご懇談ですが、本年も帰国隊員の代表が両陛下へ任国での活動をご報告致しました。

今回両陛下にお目にかかったのは大洋州、中東、中南米の国々に派遣されていた青年海外協力隊員2人と日系社会青年ボランティア1人です。ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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写真キャプション:前列左から杉本さん、北岡理事長、松原さん、
後列左から 加藤さん、小林青年海外協力隊事務局長

ソロモン諸島:漁村のお母さん向けに資源管理の研修を実施

松原花さん(職種:水産開発、29歳、京都府出身)は、ソロモン諸島の首都ホニアラにて、漁業・海洋資源省沿岸漁業部地域基盤型資源管理(CBRM)課に属し、地域主体の水産資源管理を促進する活動を実施しました。CBRM啓発活動や、国内CBRMデータベース作成、啓発活動をはじめ、研修のため漁村にも出張。意思決定の場に参加しづらい漁村の女性達を集め、水産資源の持続的な管理と利用について話し合う場として「漁村のお母さん向け資源管理研修」を行う活動も行いました。

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漁村のお母さん向け資源管理研修。思決定の場に参加しづらい女性達を集め水産資源の持続的な管理と利用について話し合う場を設定しました。スクリーンの右側が松原さん

エジプト:日本式教育モデルの普及を進める

加藤奏太さん(職種:小学校教育、36歳、愛知県出身)は、エジプト・日本教育パートナーシップの下、任地ギザ県の公立一般校と、技術協力プロジェクトが支援するエジプト日本学校(EJS)を巡回し、日本式教育モデルの普及活動を行いました。具体的には、①小学校の音楽などの授業の実施、②児童が主体的に活動する学習指導方の提案・実施、③指導法改善のための授業研究会の企画・実施、④エジプト全国のEJSを巡回指導するキャラバン、⑤当番・清掃・学級会等、特別活動の導入支援をおこない、現地教員や配属先からも高い評価を得ました。

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エジプトの公立校で特別活動授業をする加藤さん(右)。50名以上の参観者を迎え日本式の教育を取り入れた学級活動を行いました

ブラジル:小学校で日本語の授業を行い、日本文化も紹介

杉本容子さん(職種:小学校教育、30歳、岐阜県出身)は、北部アマゾン地帯の主要都市パラ州ベレン市にある日系人が経営する小学校で、校長と二人三脚で音楽や体育、日本語の授業を行いました。平日は朝の生徒受入れから授業後の翌日の準備に追われ、週末は地域のイベントを献身的に支援するなど、日本文化の紹介に力を注ぎました。帰国報告会では在外公館から領事や地域の複数の日系団体の理事の出席があった等、地域における隊員の存在価値は高く、日系社会振興に寄与しました。

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日本語の授業で、毛筆を教える杉本さん(中央)生徒たちは愛、感謝など、難しい字も積極的に練習していました

ご懇談後、参加者からは、「和やかな雰囲気のもと両陛下が報告を熱心に聞いてくださり、ご質問もいただき光栄でした。」、「帰国後の活動についてもご関心を寄せてくださり、大きな励みになった」などの感想をいただきました。