天皇皇后両陛下が帰国したJICA海外協力隊(青年海外協力隊員、日系社会青年ボランティア)とご懇談

2021年11月30日

派遣国での約2年間にわたる活動を終え、帰国したJICA海外協力隊(青年海外協力隊員と日系社会青年ボランティア)の代表が10月25日、皇居で天皇皇后両陛下とご懇談の栄を賜りました。

1965年に青年海外協力隊が発足した当初から今日に至るまで続いている帰国隊員のご懇談ですが、本年も帰国隊員の代表が両陛下へ任国での活動をご報告致しました。

今回両陛下にお目にかかったのは東欧、アフリカ、中南米の国々に派遣されていた青年海外協力隊員2人と日系社会青年ボランティア1人です。ご懇談に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で北岡伸一理事長と面談しました。

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前列左から近藤さん、北岡JICA理事長、富田さん、
後列左から 田中理事長室長、宮城さん、小林青年海外協力隊事務局長

セルビアへの隊員派遣は初めて。障害者のスポーツ指導を行う

宮城勇也さん(職種:障害児・者支援、27歳、沖縄県出身)は、セルビア初代JOCVとして、同僚指導員とベオグラード市内にある複数の施設を巡回しながら、利用者(障害児・者)へ水泳などのスポーツ指導を行いました。2019年には、ベオグラードマラソンで障害者と伴走した活動が評価され、配属先同僚とともにHero of the Beograd Marathonを受賞。配属先、協会の利用者やその家族からの信頼も厚く、日本およびJICAの認知度・イメージ向上に貢献し、アルジャジーラなどの海外メディアに登場しました。さらに、帰国後の活動として東京五輪セルビア代表選手団の言語サービスボランティアにも参加しています。

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ベオグラードマラソン(ハーフの部)にも参加。中央で車いすを押しているのが宮城さん

ルワンダで水・衛生啓発の推進や栄養改善に取り組む

富田美佳さん(職種:コミュニティ開発、34歳、埼玉県出身)は、ルワンダ東部に位置するカヨンザ郡にて、水・衛生啓発の推進や井戸を管理する住民委員会の設置とその運営のサポートなどを行いました。地域住民や学校へのポリタンク洗浄や手洗いに関するワークショップ、栄養改善のための調理実習、給水場の水質調査や設置状況の把握と共有など、配属先や地域住民と一緒に取り組んだほか、JICAの開発教育の映像教材作成への協力も行いました。新型コロナウイルスの感染拡大による避難一時帰国中には、日本の小学校や企業向けにルワンダの生活や水事情について伝える活動も実施しました。

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現地の先生とともに手洗いワークショップを開催する冨田さん(中央)。黄色い制服が小学校、白い制服が中学校の生徒

日本語教育や日本文化の普及をブラジルで

近藤ゆみさん(職種:日本語教育、29歳、滋賀県出身)は、ブラジル、サンパウロ市から約180キロ北東に位置するピンダモニャンガバ市に、2008年に創立された日本語学校で5代目の隊員として活動しました。主に現地教師の日本語教育能力向上を目指し研修会や勉強会を開催、また学生たちに向けて日本文化や日本語能力試験対策の指導をするなどの活動を行いました。東京五輪の応援ソング「パプリカ」を自身の配属先と同期の隊員有志に呼びかけ、計16団体が参加して、エール動画を作成し公開するなど、広報面においても精力的に活動しました。

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生徒から大人気だった月1回の日本文化の授業で、令和になった記念に書道をしました。右端二列目が近藤さん

ご懇談後、参加者からは、「和やかな雰囲気のもと両陛下が報告を熱心に聞いてくださり、多くのご質問もいただき貴重な経験をさせていただいた」、「帰国後の活動についてもご関心を寄せてくださった。励ましのお言葉もいただき、今後の大きな励みになった」といった感想を聞くことができました。