【お知らせ】「国づくりは人づくり」を貫く:北岡伸一 JICA理事長、任期満了で退任

2022年3月30日

北岡伸一JICA理事長が、2022年3月末をもって任期満了となり、理事長を退任することとなりました。それを受け、3月29日、JICA本部にて退任記者会見を行いました。

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退任記者会見を行うJICA北岡伸一理事長

記者会見では、2015年10月の就任当時から現在までの6年半を次の通り振り返りました。まず、就任当初取り組んだこととして、途上国におけるインフラ整備の協力にあたって「インフラ4原則」を定め、途上国との関係で「信頼」の確保を最も重視するようにしました。また、その姿勢は2017年に打ち出した「信頼で世界をつなぐ」というJICAのビジョンにも取り込みました。日本の外交政策である「自由で開かれたインド太平洋」は自由、平和、法の支配といった普遍的な価値を共有するものであり、その実現のため特に東南アジアでの協力を重点的に実施しました。それ以外の地域についても、アフリカ、中南米、太平洋島嶼国、旧ソ連・東欧諸国など、各国のニーズを踏まえつつ、日本との関係強化に資する協力に取り組んできました。

とくに力を入れたのが途上国の人材育成です。途上国からの留学生が、欧米とは異なる日本の近代化や戦後復興、更には開発協力の経験について学ぶ機会を提供する「JICA開発大学院連携」や、それらを途上国で学ぶ講座「JICAチェア(日本研究講座設立支援事業)」を立ち上げ、推進しました。

2020年から始まった「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」は、長年途上国と協力してきたJICAの知見を日本での円滑な外国人労働者受け入れに活かす画期的な試みです。

3月末で任期を終える北岡理事長があらためて感じているのは「国づくりは人づくり」ということ。ここ数年で、国づくりの基礎である人材育成を重視し、海外での活動だけでなく留学生や外国人材の受け入れなど日本国内の活性化に資する活動にも注力するようになったという点が大きな変化だと総括しました。

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コンゴ民主共和国を訪問した際は、1983年に円借款にて建設された同国唯一の吊り橋、マタディ橋を視察(2019年7月)