がれき問題に直面するウクライナに、日本の廃棄物処理の知見・経験を共有 〜二国間オンラインセミナーに120名超が参加

2022年7月5日

6月29日、JICAは、ロシアによる軍事侵攻で大量の破壊廃棄物(注)が発生し、その処理が困難となっているウクライナに対し、日本の災害廃棄物の処理に関する知見・経験を共有するオンラインセミナーの第1回(全4回予定)を開催しました。

JICAは、独立後の経済成長を背景に増加するウクライナの都市廃棄物の処理能力向上のため、2018年に実態把握のための調査、2020年からは廃棄物管理専門家を派遣するなどの支援を行っています。今回のセミナーもその支援活動の一環として実施されました。

ウクライナからは地方公共団体発展省、環境保護・天然資源省が、日本からはJICA関係者、JICA専門家である日本工営株式会社、日本環境衛生センター、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県東松島市の職員が登壇しました。このほか、キーウやハルキウ、ドニプロ各市などの市・州の代表者など含め計120人超が参加しました。

まず、日本側が日本の災害廃棄物処理に関する情報として、東日本大震災時の廃棄物処理の概要や分別方法、仮置き場の配置などについて説明しました。その後、ウクライナ側が各地の破壊廃棄物の発生・処理状況を報告し、破壊を受けながら同時進行で破壊廃棄物の処理を行うことが困難となっている現状について説明。日本の経験とウクライナの現状・課題について相互理解を深めました。質疑応答ではウクライナ側から災害時の廃棄物の仮置き場の運用などを含む多くの質問があがり、破壊廃棄物処理に関する情報への需要の高さが改めて感じられました。次回以降のセミナーではウクライナ側の関心に応じて日本国内の行政、自治体、関連の専門機関、民間企業等の知見・経験を重点的に取り上げる予定です。

環境保護・天然資源省のイエヴェニィ・フェドレンコ副大臣は「時宜を得たセミナーの開催、JICAの継続的な支援に感謝します。戦争が終わった後、我々は必ず復興します。日本の知見・経験が役に立つと信じています」と感謝の言葉を述べ、最後に行われたオンライン記念撮影では、東松島市の職員が「ウクライナに1日も早く平和が訪れることを祈っています」とウクライナ語で書いたメッセージを掲げました。

第2回以降のセミナーは今年10月までに順次開催予定です。


注:
ウクライナでは戦争によって生じたがれき等の廃棄物を破壊廃棄物(Destruction Waste)と称しています。

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ロシア軍により破壊されたキーウ市内の建物

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セミナー最後の記念撮影。東松島市の職員はウクライナ語のメッセージを掲げた(上から2段目の左端)