所長あいさつ

2020年3月にJICAトルコ事務所長として着任しました、井黒(いくろ)と申します。これまでエジプト事務所長、地球環境部環境管理グループ長、アフリカ部次長などを経て当事務所に着任しました。

日本とトルコには長い助け合いの歴史があります。1890年にはトルコ(当時オスマン帝国)の軍艦、エルトゥールル号が日本を訪問後、帰途で台風に遭い和歌山県沖で座礁した際、串本町(当時大島村)の人々が危険を顧みず救済活動にあたり、69名の船員を救出しました。
時を経た1985年、イラン・イラク戦争の最中、イランに取り残された日本人に対し、トルコ政府は旅客機を飛ばし、日本人215名の救出を行いました。トルコの人々は100年近く前の恩を忘れてはいなかったのです。
1999年のトルコ西部で起きたイズミット地震の時には、日本からは緊急援助隊の派遣及び236億円の緊急復興借款の供与を行いました。また2011年の東日本大震災ではトルコから緊急援助隊が派遣されました。この時のトルコの緊急援助隊は他のどの国よりも長く救助活動にあたってくれました。

私たちJICAも政府開発援助(ODA)として、長年トルコとの協力事業を行っています。こうした事業は1959年に初めてトルコからの研修員を日本に受け入れてから、2019年で60周年を迎えました。この間、上述の緊急支援に加えて、イスタンブールのマルマライ地下鉄や第2ボスポラス大橋に代表される円借款によるインフラ事業や、防災、農業、水産、エネルギー等、様々な分野での技術協力など幅広く事業を行ってきました。

トルコはこの間、一人あたりのGDPも大きく成長し、開発途上国の中でも中進国となり、G20のメンバー国でもあります。トルコはアフリカ等他の途上国を援助するドナー国にも成長しつつあります。JICAはトルコの政府機関とは良きパートナーとしても協力しつつ、第三国への支援も行うといった、新たな関係構築も行っているところです。
他方で、こうしたトルコにおいても、多くの課題を抱えています。経済は、外的及び内的要因にも影響を受けやすく、ここにきて成長率が鈍化してきています。また現在トルコには360万人を超えるシリア難民がいます。シリア内戦が長期化するなか、シリア難民が定着しつつあるトルコへの支援は引き続き重要な課題です。

トルコでは約200の邦人企業が活躍されています。2019年の日本からの直接投資額は317百万ドルと世界7位にまで上昇しました。JICAトルコ事務所としてはこうした企業の方々とも連携し、日本、トルコ双方にとってWin-Winとなるような協力事業も行っていきたいと考えています。

最後に、2020年4月現在、新型コロナウィルスが世界中で猛威をふるっています。トルコでも多くの感染者が出て、国内の安全、経済活動に大きな影響を及ぼしています。「まさかの時の友は真の友」。私たちの協力が、日本とトルコの間で真の信頼関係の強化に貢献出来るよう、最大限努力していく所存です。

JICAトルコ事務所
所長 井黒 伸宏