活動の着地点を探して

2020年3月2日

【画像】

カラフルなランドセルが似合う任地の子供たち

隊員氏名:菊山 達也
隊次:2018年度  1次隊
職種:コミュニティ開発
任地:ラカイ県庁
出身県:福岡県

【画像】

主力商品のカラフルなトートバッグ

【画像】

ペットボトルで作るゴミ箱の試作

【画像】

ウガンダ人と初めて作った改良かまど

【画像】

調理用バナナ生い茂る任地ラカイの風景

こんにちは。ウガンダはラカイ県にてコミュニティ開発隊員をしております、菊山達也と申します。昼から続く停電の中、こちらの活動紹介を書いております。

時の流れは早いもので、ウガンダに来て1年8ヶ月が過ぎようとしています。この間に嬉しい事も落ち込む事も何度も経験し、たくさん得ては失って、一生分のバナナとパイナップルを食べました。考え方も派遣当初から大きく変化してきました。本来ならば残されたウガンダでの時間も4ヶ月となった今、そろそろ活動のまとめにかかる必要があるのですが、考え方が変わったが故に活動に修正が生じたり、新しく活動を起こしたりしているため、最後までバタバタすることになりそうです。

ウガンダの首都カンパラから南西に約200km離れたところに位置する任地ラカイ県は、ウガンダで初めてエイズ患者が見つかった不名誉な歴史を持つ場所です。それ故、80年代90年代は世界各国からNGOやドナーが支援に入っていたそうですが、今ではそのほとんどが撤退し、多くの問題は残されたままとなっています。それらの団体の当時の看板が錆びて斜めに立っているのを見る度、支援の継続の難しさを思い知らされます。物やサービスを無償で受けることに慣れた住民の考えを変えるのは難しい、と県庁に勤める友人と語り合ったりもしました。また、ここラカイは日差しが非常に強く、しかしながら降雨量は少ないために作物も他地域と比べて育ちにくく、資源も限られています。こういった背景のあるラカイで何が出来て何が有効か分からず、しかし悩む時間も勿体無いので手広く活動をしてきました。その中の1つか2つでも芽が出れば良いなといった考えでした。全ては紹介しきれないので、ここでは2つ取り上げたいと思います。
1つ目はクラフトビジネス。任地では仕事の機会が大きく不足しており、多くの人が正規の仕事に就けず、安定して稼げずにいます。そういう人たちと一緒に、アフリカの広い地域で親しまれているカラフルなアフリカ布を使ってバッグや小物などクラフトを作り、販売しています。また、これまで服の修繕だけで食べていた任地のテイラーも雇い、彼らの新しい技術の習得や収入向上にも貢献しています。日本国内にいくつか販売先を見つけ、そちらで商品を販売してもらっていますが、ウガンダ国内ではまだJICA事務所と隊員連絡所(隊員専用ドミトリー)のみでの販売です。自分がいなくなった後もウガンダ人主体で継続出来るように、外国人の多いエリアなどで販売先を探したり、一緒に働く青年の一人包括的な管理を教えているところです。

2つ目は環境教育。1)ゴミ処理と2)かまどの普及の2項目に分けてお話しします。
1)ゴミ処理に関してですが、任地ラカイに着いて最初に驚いた点はポイ捨てされたゴミの多さでした。ここにはゴミ収集のシステムがなく、住民たちも扱いを知らず、住宅地の裏には行き場を失った大量のゴミの山が出来ており、放し飼いの家畜や鳥などがそこから食べれる物を漁ったりしています。また、道路の脇にはいつも空のペットボトルが散乱しており、何か出来たらと考えていました。そこで始めたのが、学校での環境教育の授業です。主に小学校を周り、ゴミを一箇所にまとめて処理したり、ゴミを減らすことの大切さを伝えています。また前述の廃ペットボトルを利用してゴミ箱も作ってみました。今はより綺麗な形のものを作成中で、完成次第人目に触れる機会が多い県庁に設置したいと計画しています。

2)かまどの普及に関してですが、ウガンダでは、ガスコンロや電気コンロを持たない家庭では、石を三つ並べたところで火を起こし、そこに鍋を焚べるのが主流です。これでは熱が簡単に逃げてしまうため効率が悪く、調理に時間がかかる上、余分に薪や木炭を使うことになります。そこで鍋のサイズに合わせたかまどを作り、効率を上げることで調理時間と燃料の節約を行うことが出来ます。薪の量が減ることで、微力ではありますが森林伐採を抑えることが出来ますし、家計にも優しく食事を摂ることが出来ます。また、煙突を付け煙の行き先も調整出来るので、煙による視力低下を防ぐことにも繋がります。実際、約1年前に作ったかまどで調理してみると、調理時間も使用した薪の量もおおよそ3分の1にまで抑えることが出来ました。調理後の残り火で飲み水用に水を煮沸することも容易に出来るようにもなりました。設置したかまどを見て「うちにも欲しい」といって来るウガンダ人も多く居るため、残りの任期で自分が一つ一つ作って回るのではなく、作れる人を育て、その人が更に技術を伝えれるように尽力したいと思います。

活動紹介は以上です。泣いても笑ってもあと4ヶ月。来世の分のバナナとパイナップルを食べ進めつつ、残り任期で活動をうまく着地させられるよう、楽しく活動したいと思います。ご拝読ありがとうございました。