世界もあなたも、可能性に満ちている-ウガンダでの授業研究-

2022年7月1日

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英語での授業に必死です。

隊員氏名:太田 健司
隊次:2021年度1次隊
職種:小学校教育
任地:ルウェロ県ンデジェ
出身県:東京都

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一生懸命勉強する子どもたち

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問題演習中は個別指導。

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わからないところは生徒同士で教えあい。

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できた生徒は手を挙げてチェックを受ける。

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授業スタンダード。このプレートを黒板に貼りながら授業を進めることで、毎回の授業が同じ流れで進むようになる。次に何をするのかがわかるため、生徒が授業を受けやすくなる。また先生も授業準備が簡単になる

「世界もあなたも、可能性に満ちている」
今回実施した授業研究は、JICA海外協力隊のコピーの意味を、強く実感する機会となった。

ウガンダでは、教育系隊員が授業技術や支援方法について学び合うことを目的に「教育分科会」が活動している。今回その活動の一環として、ウガンダ中部のルウェロ県に位置する私の配属先Ndejje Junior Schoolで分科会メンバーが集まり授業研究を行った。私の算数の授業を見学してもらった後、協議会で授業の工夫や参考になった点、改善が必要な点等について話し合った。

分科会として研究授業を実施した経験のある先輩隊員もおらず、コロナ後初の試みとなる今回の授業研究。そのため完全に手探りでの企画・実施で、様々な不安を抱えていた。事前の準備や手配、当日の進行はうまくいくだろうか。たくさんの日本人が見に来て、生徒は興奮しないだろうか。計画通りに授業や任地見学を進められるだろうか、などなど…

また私はもともと、中学校社会科の教員である。ウガンダの小学校で算数を、しかも英語で教えるというのは、とても大きな挑戦だ。いくら日本での経験があるとはいえ、今の授業を他の隊員に見せて、学んでもらえるものがあるのか…と、日本で授業研究を行う際の何倍もの緊張と不安を抱えていた。

しかし、不安はすべて杞憂だった。生徒はむしろ、普段以上によく頑張ってくれた。静かに説明を聞き、一生懸命考えて問題を解き、わからないところは生徒同士で教え合う。自分たちでメリハリを付けて授業を受けてくれたので、いつもは何度も使う「Be quiet!(静かに!)」「Stop talking and listen to me!(おしゃべりしないで先生の話を聞いて!)」といったセリフを、ほとんど使わずに授業を進めることができた。

協議会では、他の隊員から「メリハリのつけ方が勉強になった」、「机間指導や声掛けの仕方、時間の区切り方などを、自分の授業の参考にしたい」といった感想をもらうことができた。また現地の先生からも、後日「自分のクラスでも授業をしてほしい」「授業スタンダードのプレート(写真参照)がほしい」などのコメントを頂いた。今回の授業研究が他の先生の授業改善につながったのなら、これほど嬉しいことはない。

そして自分自身も、今回の授業研究を行うにあたって、自分の授業についてよく考え直す事ができた。協議会では自分が気づいていなかったことも指摘され、まだまだたくさん改善の余地があることもわかった。

いつもはおしゃべりしてしまう子どもたちも、こんなに一生懸命勉強に取り組める。現地の先生も、参観してくれた隊員仲間たちも、授業をよりよいものにしようと勉強している。そして自分自身も、まだまだ授業を改善していける。このように今回の授業研究では、多くの「可能性」を見つけることができた。子どもたちはもちろん、日本人やウガンダ人の先生たちも、そして自分自身も、まだまだ成長する「可能性」に満ちている。

日本人同士、日本人とウガンダ人、大人と子ども、子供同士。様々なつながりの中で共に学び合うことで、私たちの「可能性」はどんどん広がっていくのだと思う。

「世界もあなたも、可能性に満ちている」。この言葉を信じて、これからも様々なつながりの中で、世界中の人たちと共に学び続けていきたい。

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授業後に子どもたちと。

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教育分科会メンバー。