ウガンダでの協力隊経験が開発を志すきっかけに(後編)

2021年8月20日

第2回:鷹觜 悠史さん(小学校教育、2017年度1次隊、任地:ジンジャ県ムシマ)

20周年企画 隊員OVインタビュー

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【鷹觜 悠史さん プロフィール】
1987年生まれ。大学在学中にヨーロッパを自転車で一周。その経験から大学卒業後、小学校教諭を目指す。小学校教諭免許を取得後、東京都の公立小学校に約3年間勤務。2017年6月より2年間、青年海外協力隊の「小学校教育」としてウガンダ共和国・ジンジャ県の小学校に派遣。現在は英国の大学院で「教育と国際開発」を勉強中。

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算数の授業風景

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ネットボールの練習風景

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掛け算九九を覚えるぞ!

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ワークショップで五目並べを教えたよ

(JICA)現在も任地の人との関わりはありますか?その人に伝えたいメッセージがあれば教えてください。

(鷹觜さん)1年半近く一緒に住んでいたカウンターパートのJosephさんとは今も時々連絡を取っています。算数の先生で子供たちのことも考えて指導にあったっていました。学校でも教師や親からの信頼も厚く頼りがいのある先生です。そのJosephさんがカウンターパートとなり、昨年9月にクラウドファンディングを行い、配属先であったムシマ小学校と現地NGOへ支援を行いました。直接会って話すことは叶わないため「いつもありがとう」とメッセージを伝えたいですね。(注)詳細は下記ホームページより。

(JICA)協力隊経験の中で、心残りはありますか?また協力隊に参加したら、やってみたいことはありますか?

(鷹觜さん)当時の自分にできることは精一杯できたと思います。それでももっと広い心でいろいろなことに向き合うことができたら、違った自分を発見できたのではないかと振り返ります。たくさんの失敗や挫折を経験し、現地の文化や社会を受け入れられないこともありましたが、2年間続けることができてよかったと思います。また、僕は日本人であり、現地の人にはなれないこともわかりました。それでもできる限り現地の人の思いや考え方を理解できる人間であり続けたいとも思いました。もし、協力隊にもう一度参加することがあるとしたら、より広い視野を持ちたいため、きっとウガンダではない別のアフリカの国を希望すると思います。でも、やはり職種は小学校教育を選択し現地の子供たちと一緒に成長したいと思います。

(JICA)協力隊に参加する前と後とでは、心境の変化などありましたか?協力隊の経験はその後のキャリアをどのように変えましたか?

(鷹觜さん)協力隊参加をしてから、途上国の教育課題に向き合うと決めました。帰国後は日本で再び教員になることも考えましたが、まだ開発途上国での教育活動への貢献ということについて自分なりの答えが出せていません。ウガンダで教員をしていた際に直面した学校へ通えない子供や授業料が払えない家庭を何とかして支援していきたいという気持ちが強くなりました。また、こうした問題はウガンダだけでなく低所得国には多くある問題であり、国によって状況が異なります。途上国の教育問題の解決に少しでも貢献したいと思い、途上国の開発課題に関わっていくためには知識や学位が不足していると感じたため、現在は英国の大学院で「教育と国際開発」について学んでいます。協力隊の経験ではウガンダ1ヵ国の教育問題について目を向けてきましたが、大学院での学びを通して、世界には様々な教育課題を抱えている国があり、こうした問題の解決に向けて貢献することに使命を感じています。

協力隊は人生の転機であり、今の私の人生は協力隊の経験なしには語ることはできません。「教育開発」という学問に興味を向けることができた、また自分の中で解決したい課題を見つけることができたのも協力隊の経験を通して得られた成果ということができます。

(JICA)現隊員やこれから協力隊を目指す人に向けたメッセージをお願いします。

(鷹觜さん)協力隊は、途上国の社会に貢献しつつ、自分自身を成長させてくれる場です。途上国に暮らすことは日本で暮らすのとは異なり不自由なこともありますが、その違いを理解し、受け入れる(すべては難しいですが!)ことで充実した2年間を送ることができました。「百聞は一見に如かず」。途上国社会はみなさんの知識や技術を必要としています。ぜひチャレンジしてみてください!

(JICA)ウガンダ隊OV会の初代会長を務めている鷹觜さんですが、これからもぜひ、ウガンダと日本の架け橋となりご活躍されることを祈念しています。ごインタビューへのご協力ありがとうございました。