人と人との繋がりを大切に。今度はウガンダへ恩返し(前編)

2021年9月24日

第6回:須藤 佳奈さん(小学校教育、2017年度1次隊、任地:ムピジ県)

20周年企画 隊員OVインタビュー

【画像】

【須藤 佳奈さん プロフィール】
大学卒業後、ワーキングホリデービザでオーストラリアに1年間滞在。その後、福祉サービスを提供する企業に就職。その後、青年海外協力隊の「青少年活動」に応募するも不合格。諦めきれず、再度、「小学校教育」に再応募し、合格。2017年6月よりウガンダ ムピジ県にて2年間活動。現在は、長野県立科町で地域おこし協力隊として活動中。

(JICA)現在、地域おこし協力隊として活動されている長野県立科町は、東京オリンピック2020のウガンダのホストタウンとのこと、お忙しいところ、ご協力いただきありがとうございます。今日はウガンダや青年海外協力隊の経験などについてお聞かせください。はじめに、協力隊に参加したきっかけを教えてください。

(須藤さん)目に見えるモノではなく、見えないものを豊かにする生き方をしたいと思ったからです。私は、宮城県南三陸町の出身で、東日本大震災を経験しました。今まで当たり前に存在していたモノは、一瞬で壊れなくなってしまう世界を見て、そんな儚いモノを大切にする生き方よりも、絶対になくならない「人と人との繋がり」を大切にした生き方をしたいと思うようになりました。モノが不十分ではないと想像するアフリカで、人と人の繋がりを大切に、自分ができることをしてみたい!と思ったのが、1番のきっかけです。

(JICA)ウガンダに派遣されることが決まった時はウガンダにどんな印象を抱いていましたか?実際に来てみた時の印象はどうでしたか?

(須藤さん)派遣前は、ウガンダというか、「アフリカ」全体の印象に、貧困、飢餓、エイズ、内戦、子ども兵など、というような負のイメージがありました。2年間の協力隊活動の中で、私が想像していた困難な場面も、もちろん見ました。しかし、その一方で、与えられた環境に感謝をし、豊かに暮らす人々をたくさん見ました。今日の出来事をお喋りしながら家族と一緒にご飯を食べ、停電中の月明かりの中で手を繋いで踊り、久しぶりに会ったらお互いの家族の安否確認をして、赤ちゃんが泣いていたら傍にいる人が抱っこしてあげて、足の悪いお年寄りを見たら手を差し伸べる。そんな時間的なゆとりのある「豊かな」場面をたくさん見ました。本当の「豊かさ」や「幸せ」について、とても考えさせられ、当初想像していたようなウガンダの印象は大きく変わりました。

(JICA)ウガンダに来てみて、今までのアフリカやウガンダの印象も変わったようですが、須藤さんの価値観にも影響を与えたのかもしれませんね。任地ではどのような活動をされていましたか?

(須藤さん)配属先の小学校は、児童数約1600名、教員数約50名の比較的設備の整った地元名門校でした。24時間警備の警備員、しっかりとしたセキュリティーの門構えに、良い意味で想像とは違いました。
しかし、よく見てみると通ってくる児童の背景は様々でした。両親が海外で働いていたり、お医者さんをしているなど、比較的裕福な暮らしをしている児童、その一方で、孤児になり海外からのスポンサーを受けている児童、1万シリング(日本円で300円程)の学校維持費を払うことさえ難しい家庭の出身で、裸足でノートもペンもない児童もいました。配属先は、そのような様々な家庭環境に暮らす児童が混在している学校でした。
私はその配属先で、日本の5年生にあたる児童3クラスに算数、4、5年生にあたる児童6クラスに体育を教えていました。また、日本の絵画コンクールに参加したり、他の隊員と協力してサイエンスフェアなども開催しました。

(JICA)算数や体育、図工など幅広い活動をされていたのですね。選びにくいかもしれませんが、ウガンダでの隊員活動や生活での一番の思い出はなんですか?

(須藤さん)体育の授業で、子ども達とダンス練習をしていた日々です。子ども達の踊りたくてウズウズしている表情や、休み時間に学年関係なく子ども達が集まってきて一緒に踊って、「もう1回!もう1回!」と何度も何度も踊って…、あの時の子どもたちのエネルギーと笑い声は、一生忘れられない私の宝物です。
ダンス練習の中で、たまたま見学に来ていたあしなが育英会の学生さんがいたので、見本を見せるのにフラッシュモブみたいに日本人が突然踊り始めたらおもしろいんじゃないかと示し合わせて踊り出したら、子ども達大盛り上がりで待っていられなくて踊り出してしてしまって(笑)あの時の生き生きとした子ども達の表情も忘れません。ダンス披露会や、ゲストが来るとなると、子ども達は緊張して硬くなってしまうので、日常の中のキラキラした姿を1番の特等席で見れたと思っています!

(JICA)任地で会いたい人はいますか?その方に伝えたいメッセージがあれば教えてください。

(須藤さん)カブーザ・エドワード君。当時、S1(日本の中学校1年生)の生徒でした。両親に経済力がなく、シスターに学費を払ってもらう代わりに、長期休みは、畑仕事、掃除等をして自分の学費を稼いでいた生徒です。

「カブーザ元気ですか?カブーザの家族も元気ですか?無事に学校には通えていますか?私を家族や親戚の家に案内してくれてどうもありがとう!あなたの家族は、いつも私を家族のように迎え入れてくれて、とても嬉しかったです。カブーザのお父さんが作ってくれたさつまいももマトケの味も忘れていません。カブーザのお母さんに、お皿からマトケを分けてもらったことも、娘になったみたいで本当に嬉しかったです。カブーザには、1番悩みを相談したり、お互い内緒の話をしたんじゃないかと思います。私と友達になってくれてありがとう!
カブーザの生活には、たくさんの困難なことがあって、それでも周りの人に優しく、一生懸命生活していたあなたを尊敬しています!カブーザの未来が幸せいっぱいであるように、遠い国からお祈りしています。」

任地で本当の「豊かさや」「幸せ」について考えさせられたという須藤さん。ウガンダで出会った方たちとの思い出もたくさん、ウガンダへの思いが溢れていらっしゃる様子が伝わってきます。そんな須藤さん、帰国後もウガンダと関わるチャンスが…(後編へ続く)

【画像】

お別れパーティーの際に子どもとハグ

【画像】

今夜は牛骨スープ!牛骨スープはウガンダ人にとってご馳走です!

【画像】

豪華なパーティー料理(ポショ、ジーナッツソース、牛肉の煮込み、キャベツ)