全力で取り組んだ経験がゆっくりと人生に効いてくる(後編)

2021年12月13日

第15回:長谷川 昌貴さん
(PCインストラクター、2010年度3次隊、任地:カンパラ)

20周年企画 隊員OVインタビュー

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【長谷川 昌貴さん プロフィール】
1976年生まれ。大学にて環境情報学を専攻。2003年から北京市にて中国進出支援コンサルタント業務に従事。2007年から太陽光発電用シリコン製造会社勤務。2011年から2年間、休職制度を利用し協力隊に参加。ウガンダのナカワ職業訓練校(以下、NVTI)にてPCインストラクターとして活動。現在は山形県鶴岡市にあるバイオ素材開発のスタートアップ企業にて内部監査として業務に従事。

(JICA)インタビュー後半では、活動終了時のお気持や、その後のキャリアを中心にお聞かせください。協力隊員の活動任期は基本2年間ですが、2年の活動を終えた時には、どんな気持ちでしたか?

(長谷川さん)活動期間中は業務の負荷が高かったこともあり、帰国する際は、無事に2年間を終えることができたという安堵感がありました。首都での活動であったため、生活は比較的恵まれていたと思いますが、業務上は重要なタスクもアサインされていたため、プレッシャーは常にありました。派遣先のNVTIにて最終活動報告を行った際は、2年間を何とかやりきったと安堵したことを記憶しております。

(JICA)ボランティアというと、責任が少し軽いのでは?というイメージもあったりしますが、重要なタクスも任されていたのは、やはり今までの経験を生かした活動をされていたからでしょうか。協力隊に参加して何かご自身の中で変化はありましたか?今までの業務経験では得られなかった経験などありましたか?

(長谷川さん)協力隊経験のその後の影響については、コミュニケーション能力が向上したというのは確実にあると思います。また以下の3点、1)多元的に物事を見ること、2)リスク管理、3)ファシリテーション、についての能力が向上した実感があり、現在の業務にも生かされていると感じます。

また、協力隊の経験によって物事の見方や考え方が日本の標準的なものとは違う角度からできるようになったということがあると思います。多様性が重要視されるこれからの時代においては、これは良いことだと思います。総じて見ると、協力隊経験は、その後の人生にポジティブな影響を与えていると感じています。

(JICA)協力隊に参加すると、単に外国語を操えるようになり、物理的に世界が開けると思われがちですが、実際には、そこに住む方々と一緒に生活することで、文化や歴史的背景を理解し、新たな考え方や見方を受け入れる、内面的な世界の広がりの方が大きいですね。寛容性や共感力、忍耐力も高まったいう声も聞かれますね。協力隊参加後、現在はどのようなキャリアを歩まれていますか?

(長谷川さん)帰国後、4年間くらいの期間はITシステム関連の業務に従事していましたが、現在は内部監査に従事しています。先の項目で挙げたコミュニケーション能力や、多元的に物事を見る能力など、協力隊の時に培った経験が現在の業務に大きく生かされているように感じております。内部監査の業務もボランティアと同じく、指揮命令系統は持っていない為、あるべき物事の方向性のイメージを相手に理解してもらい、自発的に動いてもらうという点では共通しているように感じます。

(JICA)企業の内部監査と協力隊はかけ離れているという気がしましたが、協働が必須の社会では、協力隊参加で培ったコミュニケーション能力などが日々の業務に役立っているんですね。では最後に、現在、協力隊員として活動されている方や、これから協力隊を目指す方に向けて、メッセージをお願いします!

(長谷川さん)帰任して8年が経過し、活動当時の記憶も大分曖昧になってきております。当時は悩んだり、つらい思いをさんざんしたりしたはずなのですが、そういった記憶はあまり残っておらず、今では充実した日々の記憶が印象強く残っています。

協力隊の活動は2年間という限られた時間の活動となります。限られた2年間の価値を最大限に高いものにするためには、目の前の課題に全力で取り組むということが必須だと感じております。勿論、やらない言い訳を作ることはいくらでもできるのですが、期限が2年間と限られているため、貴重な機会を活かさないことは勿体ないことだと思います。活動に全力で取り組むと、必ず悩んだり、つらい思いをしたりすることになりますが、それ以上に素晴らしい経験が残されることになると言えます。

二つの選択肢で迷った場合、より厳しい道を選ぶべきとまでは言いませんが、目の前の課題に全力で取り組むことが長期的には素晴らしい経験となって残り続けることになると思います。

(JICA)長谷川さん、貴重なお話ありがとうございました。協力隊に参加され、8年が経過されている長谷川さんにとっても、今でもその経験が生きているというのがとても伝わってくるメッセージでした。協力隊の経験は、「ゆっくりと人生に効いてくる」という言葉も長谷川さんから聞かれましたが、協力隊の参加は、すぐに答えや結果が出るものではないかもしれません。長い目で見た時に、協力隊の経験は様々な場面で力になってくれるものと思いますので、参加を迷われている皆さんも、長いスパンでキャリアを考えて、ボランティア活動への参加を検討していただけたらと思います。

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