水産局実施のリフレッシャー(再教育)研修支援

2020年4月27日

長島 聡(豊かな前浜専門家(副総括/水産普及1))

本プロジェクト「豊かな前浜プロジェクト」では、バヌアツ水産局と沿岸コミュニティが協力して行う「コミュニティを主体とする沿岸資源管理(CB-CRM)」に対する支援を行ってきました。現在のフェーズ3(2017年~2021年)では、支援の方法をCB-CRMアプローチとして、その応用性と実用性をさらに強化し、バヌアツ国内及び周辺のメラネシア諸国へ普及することを目的としています。

プロジェクトの終了後にもCB-CRMの活動を継続してもらうためには、バヌアツ側のカウンターパートである各州の水産支局員の能力強化が欠かせません。もちろんプロジェクトでも水産支局員に対する研修は本プロジェクトで実施してきていますが、さらに活動が持続的になるためには、バヌアツ水産局が独自かつ定期的に研修を実施するような体制になる必要があります。

そんな折、2020年3月に、水産支局員の不足している能力を強化するため、水産局が独自予算を組み、サントにあるバヌアツ海員学校にて全州の水産支局員を対象としたリフレッシャー(再教育)研修が3週間にわたって実施されました。今回の研修では、バヌアツ海員学校が、「海上での安全」、「救急」、「ボートの取り扱い」、「船外機のメンテナンス」、「FADの制作・設置」、「漁具漁法」などを担当したほか、水産局の関連部署による「ボートの登録」、「魚のマーケティング」、「データ収集」などの講義が行われました。

水産支局員の仕事は沿岸資源管理のみならず、水産物流通支援、浮き魚礁(FAD)の設置、養殖支援等、多岐に渡っています。CB-CRMアプローチも、資源を管理する管理方策のほか、それを経済的に支える支援方策としてコミュニティ開発を同時に行うコンセプトとなっていることから、各州の水産支局員がCB-CRMを通じたコミュニティ開発を行うことが重要であるところ、本プロジェクトでも研修の一環として「コミュニティ開発計画手法」として講義を実施することとなりました。

今回の研修で担当した講義においては、管理方策、支援方策のツールを解説したCB-CRMツールマニュアルを初めて紹介したほか、水産支局員が自分で問題分析を行い、水産局の複数の部局の活動の関連性を分析し、自分の活動計画を適切に作成できるよう講義プログラムの作成支援を行いました。

バヌアツ水産局で初の試みとなった3週間にわたる本研修は、参加した水産支局員から大変に好評であり、来年度もこのようなリフレッシャー研修を継続的に行ってほしいと水産支局員から要望が出されました。このようなリフレッシャー研修を今後も水産局が定期的に実施できるような体制になってくれるよう支援を継続していきます。

【画像】

サント海員学校における「コミュニティ開発計画手法」研修風景

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サント海員学校における「コミュニティ開発計画手法」研修風景