所長あいさつ

イエメンという国

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イエメン共和国は、アラビア半島の南西端、紅海とインド洋を結ぶバーブ・ル・マンデブ海峡を望む要衝に位置する国で、その面積は55.5万平方キロメートル(日本の約1.5倍弱)です。

国土は北部の山岳地帯(温帯)と南部及び南東部の砂漠地帯(熱帯及び亜熱帯)の二つに大別され、首都サヌアは2,300mの高地にあります。首都近郊にはアラビア半島一高い標高3,660mを誇るナビ・シュワイブ山がそびえ立っています。

イエメンへの支援

イエメンでは2011年以前から急速な人口増加、水資源の不足、食料供給不安、電力供給を含んだインフラストラクチャーの未整備等さまざまな困難に立ち向かってきました。また石油やガスに過剰に依存した収入形態も課題とされてきました。地政学的な観点からも貧困削減や社会経済開発を通したイエメンの安定は周辺の湾岸地域の治安の安定にとって重要です。国連開発計画による2016年の人間開発報告書ではイエメンは168位にランク付けされました。

治安状況は年々悪化し、より深刻な人道的危機を迎える状況になってしまいました。それにともなう経済の低迷で基礎インフラ供給の停止という事態も引き起こされてきました。そのような状況に呼応し、2018年3月には日本を含む世界中の国から2.1億ドルの支援が人道支援のために集められました。日本政府は2012年から2018年までの間に314万ドルをイエメンに対して支援を提供してきました。

JICAのイエメンでの活動

JICAは1977年からイエメンでの活動を開始し、ODA(Official Development Assistance)での円借款(地方水道、港湾施設建設事業等)、無償資金協力、技術協力など様々なスキームでサポートしてきました。このうち日本からのボランティア派遣(青年海外協力隊;JOCV)や日本へのイエメン研修員の派遣も技術協力の一環として含まれています。1991年にJOCV派遣を開始し、JOCVイエメンオフィスとして現地拠点を設けました。1994年の内戦で一度活動を停止しましたが、2007年に事業を再開、それを機にJICAイエメン支所が立ち上げられ、主に教育(職業訓練含む)、保健、地方給水、漁業・農業分野等での支援を行ってきました。現在もJICAは技術協力として日本にイエメンから研修員を招聘する本邦研修、またエジプト等の第三国に派遣しての第三国研修を実施し、継続的な支援を行っています。しかし、イエメン国内での活動には依然として制限が多い現状を抱えています。一日も早くイエメンの治安の安定がもたらされ、JICAが復興支援や恒常的な平和構築に向けての活動がイエメン国内で再開できる日が来ることを願っています。

JICAイエメン支所長 大村 佳史