HIV/エイズ対策のモニタリング評価システムと実施の強化

プロジェクト名

(和)HIV/エイズ対策のモニタリング評価システムと実施の強化
(英)Strengthening Monitoring and Evaluation(M&E)Capacity Building of HIV/AIDS Response Programmes

対象国名

ジンバブエ共和国

プロジェクトサイト

国内65郡

協力期間

2016年7月~2018年3月(終了)

相手国実施機関

(和)保健・児童ケア省
(英)Ministry of Health and Child Care(MOHCC)

背景

ジンバブエは世界で最もHIV感染率が高い国々の中の一つであり、2014年における15歳-49までのHIV感染率は、16.7%となっていた(UNAID, 2015)。そのため、ジンバブエは国家開発の中心的な課題としてHIV/エイズ対策を捉えていた。

2000年以降、HIV/エイズ対策におけるモニタリング評価(M&E)の重要性の認識が高まり、各国で統一されたひとつのM&Eシステムが整備されるようになっていった。各国のM&Eシステムの強化と、それを実施する人材育成・能力強化の支援が求められる中、JICAは2008年度より南部アフリカ諸国(ナミビア、レソト、南アフリカ、スワジランドの4ヵ国)におけるHIV/エイズ対策のモニタリング評価に係る能力強化を支援した。ジンバブエにおいては2012年度から支援を開始し、JICAの協力によって、保健・児童ケア省の各州保健局と各郡保健事務所に「HIV/エイズ対策のM&E担当官」が設定され、同担官を対象に研修が行われた。加えて、州保健局及び郡保健事務所の担当者に対して訪問指導を行った(2015年度まで)。このような活動を通じて、ジンバブエにおけるHIV/エイズ対策のM&Eは高い報告率を達成しているが、報告されるデータの質の向上、そして州及び郡レベルでのデータの分析・活用が課題と残されていたことから、ジンバブエ政府は、我が国に個別専門家派遣を要請した。

プロジェクト目標

上位目標

モニタリング評価システムによって、HIV/エイズ対策の政策立案者に適切な情報が提供される。

プロジェクト目標

州保健局及び郡保健事務所レベルにおいて、報告されるデータの質が改善し、これらのデータの分析・活用が促進される。

成果

成果1:サポート/メンターシップ訪問制度が自立可能な形へと改善される。
成果2:州保健局及び郡保健事務所レベルにおいて、データの分析と活用に係る能力が強化される。

活動

1-1:サポート/メンターシップ訪問に使われる既存のツールを確認し、改訂する(なお、成果2に関連して、データの質を把握できるようなツールに改訂する)。
1-2:州保健局及び郡保健事務所のモニタリング評価担当者を対象にリフレッシュ研修を実施する。
1-3:州保健局及び郡保健事務所が行うサポート/メンターシップ訪問に対して、保健・児童ケア省がメタ・サポート/メンターシップ訪問を行う(活動2-3と一緒に行う)。

2-1:データ分析及び活用に係る研修を実施する。
2-2:データ分析及び活用に係るサポート/メンターシップ訪問を行う。
2-3:州保健局及び郡保健局が行うサポート/メンターシップ訪問に対して、データ分析及び活用にについて保健・児童ケア省がメタ・サポート/メンターシップ訪問を行う(活動1-3と一緒に行う)。

投入

日本側投入

  • 専門家派遣1名

相手国側投入

  • カウンターパート人員の配置(保健・児童ケア省のエイズ・結核局戦略情報(モニタリング評価)部など)

主な活動成果

本協力では、州及び郡レベルの担当者・関係者が自発的かつ日常的にデータ分析・活用ができるよう、州及び中央病院の医師や看護師等も巻き込んだ形で、データ分析の方法を学ぶ研修・指導訪問を行った。こうした協力を通じて、保健・児童ケア省、州及び郡の保健局/保健事務所などの関係者間での活発な対話による相乗効果を図り、州及び郡の保健局/保健事務所のデータ分析技術の向上及びM&E文化の醸成に寄与した。

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関連案件

「HIV/エイズ対策のモニタリング評価システムと実施の強化」(現地国内研修+個別専門家)(FY2012-FY2015)

ジンバブエを含む5ヵ国で実施した広域事業である。特にジンバブエにおいては州保健局と郡保健事務所の能力強化及び保健・児童ケア省による訪問指導を行った。このような援助活動を通じて、他国と比較してジンバブエでは高い報告率を達成した。

「統合的母子保健サービスによるHIV/エイズ母子感染予防対策」(個別専門家派遣)(FY2012-FY2014)

本援助活動では、対象であるマシンゴ州保健局に対して包括的スーパービジョンの導入及びHIV/エイズの母子感染予防に関連する多様な研修の管理能力強化を行った。

「マシンゴ州HIV母子感染予防プロジェクト」(長期専門家)(FY2005-FY2008)

マシンゴ州マシンゴ郡におけるHIV母子感染の減少を目的とし、同群保健局の関与を得ながら、HIV母子感染予防サービスを提供する看護師への研修等を行った。

「ハラレ市マブク/タファラ地区HIV/AIDS 予防総合対策プロジェクト」(現地NGO委託型)(FY2003-FY2006)

ハラレ市郊外の低所得者居住地区であるマブク/タファラ地区において、HIV感染率の低下を目的とし、ローカルNGOの2団体への業務委託を通じて、HIV予防啓発活動を行った。