ボランティア

日本とジンバブエの間では、1988年に海外協力隊の派遣取極が締結されました。翌1989年7月にジンバブエへの海外協力隊の派遣が開始され、これまでに約550名の協力隊員が派遣されています。

ジンバブエはかつて、「アフリカの穀物庫」と呼ばれるほど農業が発達し、豊富な鉱物資源にも恵まれ、農業、製造業、鉱業がバランスよく発達した豊かな国でした。しかし、2000年以降、土地改革に端を発した極度の経済混乱が生じ、食料・物資の深刻な不足等により国民生活は悪化しました。現在のところ、政治・経済状況は一定の落ち着きを見せていますが、引き続き、国家財政は低迷し、行政サービス等も低水準のままとなっています。

そうした環境の中、ジンバブエにおける海外協力隊事業は、国別開発協力方針における(1)豊富な資源の有効活用、(2)貧困層住民に対する人間の安全保障の確保に向けた支援、という2つの重点分野に沿って取り組みを行っています。

市民生活においては日常的に断水・停電に見舞われる厳しい状況が続いていますが、この国の将来を担う人材の育成を目標に、隊員それぞれが首都及び地方都市において現地の人々と協力し、草の根レベルでの活動を展開しています。

協力重点分野:豊富な資源の有効活用

派遣分野:産業人材育成(職業訓練支援)

ジンバブエは、鉱物資源のほか、世界有数の観光地であるビクトリアの滝などの観光資源、農業に適した広大な台地・肥沃な土壌といった土地資源、高い教育レベルの人的資源を有しており、これらの資源を有効に活用することができれば、効果の高い経済成長を図ることが期待できます。

職業訓練校や技術工科専門学校に海外協力隊員を派遣し、実習授業や教材の作成のサポート等を通じて各校の教育環境や内容の充実を図り、産業界で即戦力となりえる技術や知識を持ち合わせた人材の育成に取り組んでいます。主な派遣職種は、デザイン、コンピュータ技術、PCインストラクターなどです。

協力重点分野:貧困層住民に対する人間の安全保障の確保に向けた支援

派遣分野:教員養成、情操教育、特別教育、スポーツ指導(教育環境整備支援)

持続可能な開発を達成するためには、貧困層を含めて国民一人ひとりが経済的利益を享受できるような健全かつ平等な社会を実現する必要があります。そのためにも、まずは、2000年代以降の経済混乱等で悪化した国民の生活水準を早期に回復させる必要があります。

教員養成校への海外協力隊員派遣を通じ、将来の教育を担う人材育成をサポートするほか、青少年や障害者等への情操教育やスポーツの取組みをサポートし、人間の安全保障の確保に向けた協力を行っています。主な派遣職種は、柔道、サッカー、野球、体育、音楽、コンピュータ技術などです。