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- 金属工学を極める:日本とインドネシアの学術的・外交的かけ橋
インドネシア工業省の工業標準化策定実施管理センター長をつとめるスリ・ビモ・プラトモ博士(以下、ビモ博士)は、その職務のかたわら、アフマド・ヤニ将軍大学の製造工学部・金属工学科の特別講師として教鞭をとっています。ビモ博士は、JICA留学生として岩手大学の修士課程に留学し、その後も別のプログラムで博士号を取得しました。ビモ博士に日本での経験をお聞きしました。
プロフィール
氏名:Dr. Sri Bimo Pratomo(ビモ博士)
出身国:インドネシア
留学先:岩手大学
JICAコース:長期研修
研究分野/テーマ:金属工学、材料工学(鉄・特殊鋼の鋳造)
JICAを知ったきっかけ
ビモ博士は、インドネシア工業省の金属工業開発センター(MIDC)に勤務していた際、JICA専門家からJICAの長期研修プログラムについて知りました。ビモ博士は、JICA長期研修員となる前に2度の来日経験があります。1度目は、公務員としてMIDCに入所した2000年のこと、名古屋産業科学研究所で2ヶ月の研修プログラムに参加しました。「日本は非常に寛容で、高度な技術をもっており、自分の研究を進めるのに理想的な場所だと感じました」とビモ博士は当時の印象を語ります。2002年、JICA主催の短期研修プログラムに参加し、2度目の来日を果たしたビモ博士。これらの経験を通じて「日本で研究したい」という強い思いが生まれました。「日本のインフラ設備の技術力には圧倒されました。また、日本の包括的な仕事の雰囲気にも感銘を受けました。名古屋での研修時にはすでに日本に戻ると決めていました」
JICAが彼のキャリアに与えた影響
JICA奨学金を得て岩手大学で修士号を取得した後、ビモ博士は指導教官の支援と自己資金で同大学の博士課程へ進み、継続して特殊鋼の研究に取り組みました。岩手大学での研究は、金属工業開発センターで従事していた研究と合致するもので、工学博士号を取得して帰国した2010年、ビモ博士はMIDCの金属鋳造課の課長に任命されました。
日本での経験から得た重要な教訓
ビモ博士にとって、規律と勤勉は日本での経験から学んだ重要な教訓でした。「これらの価値観はインドネシアの産業にも応用できます」とビモ博士は言います。「産業推進のためには計画を実行し、仕事の結果を評価する必要があります。これには規律が不可欠です。また、海外との競争のためには産業を発展させなければなりません。そのためには勤勉さが欠かせません。」
JICA海外教育による視点の変化
ビモ博士は、彼の母国が日本から様々な価値観を吸収できる可能性を強調しています。「日本留学中に学んだことは、日本人の真面目さ、高潔さ、そして経験から学ぶ姿勢です。この新しい視点はインドネシアにおける問題解決や発展にも役立てることができるでしょう」と述べました。
ビモ博士は現在JICA技術協力プロジェクトにおいて重要な役割を担い、二国間の関係強化に貢献しています。「JICAの奨学金プログラムに参加することで、自身の能力を向上させ、技術力を磨くことができます。そしてその力を活かして帰国後に活躍することができます」とビモ博士は語ります。
JICAの取り組みがインドネシアのような国々でどのように役立つか
ビモ博士は「インドネシアは日本の技術進歩から学ぶべきことがたくさんあります」と述べ、特に地震対策に関して共有できる貴重な知識があると強調します。「両国はすでに地震という問題に直面しており、日本が持つ優れた地震軽減技術や知識をインドネシアと共有できるはずです」と述べました。ビモ博士は、将来に向けて両国の政府間協力が実りの多いものとなることを望んでおり、このような外交関係は自分のような元JICA研修員によって具現化できると考えています。
これからのJICA奨学生へのアドバイス
ビモ博士は、インドネシアの若い学生にとって、日本は技術を追求するのに最適な場所だと考えています。
「日本はすばらしい技術進歩を遂げており、学ぶべきことがたくさんあります。また、日本の人々はとても友好的で寛容なので、留学生の滞在をより快適なものにしてくれるでしょう」
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