交番システムに基づく地域警察活動普及プロジェクト

  • 実施機関:
    • SENASP(国家公共保安局)
    • PMESP(サンパウロ州軍警察)
  • 対象地域:サンパウロ州及びパイロット11州
  • 実施期間:2008年11月24日〜2011年11月23日

背景

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ブラジルでは、特にここ20年間で治安状況の悪さが大きな課題となっています。

殺人、強盗、傷害などの発生数の統計的数値では改善が見られているものの、依然として発生率は高く、特に都市部を中心に全国的な社会不安の原因となっています。

これまでの調査から、犯罪防止のための警察活動は犯罪率の低下や地域住民の安心感向上に貢献することが証明されており、ブラジル法務省国家保安局(以下、SENASP)は2003年に定めた国家複数年度計画(PPP)の中で「公共保安のための国家統一システム(SUSP)」を制定、その中で犯罪の抑制と平和的文化の構築のために「地域警察」を導入することを定めています。また2007年には「公共保安のための住民連携国家プログラム(以下、PRONASCI)」も開始されています。

これまで、SENASPが全国を対象に地域警察普及員研修を開催するなどし「地域警察」の概念が様々な形で導入されていますが、その実践にあたっては技術や情報不足、警察組織内部や地域住民の理解不足などの問題を抱えています。

他方で、サンパウロ州では1999年の「地域警察」導入から8年間の実践経験があり、また日本による協力(本邦研修、技プロ)を得て、交番・駐在所を中心とした日本式地域警察活動(以下、交番システム)が一部で確立しつつあります。

そこで、サンパウロ州における交番システムの普及・定着を進め、またそれをモデルとして全国へ「地域警察」実践を拡大することを目的として本協力が要請されました。

上位目標/プロジェクト目標

上位目標

国家公共保安局(SENASP)が進める「公共保安のための住民連携国家プログラム(PRONASCI)」を通じ、サンパウロ州軍警察(PMESP)の経験を好事例とし、ブラジルに適した地域警察システムが国内に普及される。

プロジェクト目標

  1. 地域警察の概念に基づいた交番システムが、サンパウロ州全体に普及される道筋ができる。
  2. PMESPによる交番システムの経験が、地域警察の導入/実施を試みるPRONASCI対象11地域と共有される。
    ※本プロジェクトで「交番システム」とは、交番/駐在所を拠点とした地域警察の実践方法を示す。

期待される成果

  1. )PMESPにおいて、交番システムに係る警察官の専門知識/技術向上の仕組みがより強化される。
  2. PMESPにおいて、交番システムに関連する各部署の役割が明確化し、それが強化される。
  3. サンパウロ州において、防犯活動の実践に当たっての地域住民の参画が促進される。
  4. PMESPの専門知識/技術及び人材が、SENASPによりPRONASCI対象11 地域における交番システム促進のために活用される。

中米諸国への広がり

サンパウロ州における地域警察の取り組みは、ブラジル同様に治安状況が課題となっている中米地域からも関心が寄せられています。

本プロジェクトの実施に並行し、中米地域諸国に対してサンパウロ州の経験を共有する南南協力を展開することも期待されています。