ブラジルSDGsセミナーを開催

2021年3月30日

近年、新聞、報道等でSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境、社会、ガバナンス)を耳にしない日はないほど両ワードは浸透してきており、ブラジルでもこれらを意識し活動している企業は少なくありません。2021年2月26日、JICAブラジル事務所では、ブラジル日本商工会議所環境委員会との共催で「ブラジルSDGsセミナー」をオンラインにて開催致しました。セミナーには日本、及びブラジルから日本企業を中心とする130名が参加し、大盛況となりました。

開会の挨拶にてJICAブラジル事務所江口雅之所長は、SDGsを理解するにあたり、特に重要な以下4点について述べました。1)ミレニアム開発目標(MDGs)の後継であるSDGsは途上国だけの取り組みではなく、先進国も対象とする世界全体の取り組みである、2)SDGsはCSR(企業の社会的責任)とは違い、ビジネスチャンスであると同時に取り組み方によってはリスクにもなりえ、企業経営の持続可能性にも関わるものである、3)SDGsの理念は「誰一人取り残さない」包摂的な社会を目指している、4)SDGsの達成には個々人の取り組みとともに、企業の取り組みが絶対不可欠である。

また、門屋篤典次長からのプレゼンテーションでは、SDGsとは?や、日本・海外での取り組み状況、SDGs貢献に向けた民間企業とJICAとの連携事業を紹介しました。発表では、SDGsは17のゴール、169のターゲットで構成され、MDGsと違い、毎年国連のハイレベル政治フォーラムで各国が取り組み状況を報告する場があると説明しました。また、SDGsのターゲットは「あらゆる場所で極度の貧困を「撲滅」」や「男女区別なく無償、質の高い初等・中等教育を修了」と野心的な目標が多く、あらゆるステークホルダーとのパートナーシップがカギとなる、と強調しました。日本では2016年に内閣府に設置されたSDGs推進本部により実施方針やアクションプランが策定されており、SDGsアワードやSDGs未来都市を通して優れた取り組みを表彰している、ことも紹介しました。他方、ブラジルでは、政府調整庁の特別事務局がSDGs導入の業務を担い、取り組みへのコミットメントを表明しています。JICAブラジル事務所の取り組みとしては、中小企業・SDGsビジネス支援事業と海外投融資の事例を紹介しました。

続いて、ブラジル日本商工会議所のコンサルタント部会の吉田部会長の発表では、「ブラジルESG(環境、社会、ガバナンス)の動向」と題してブラジル政府やブラジル企業の取り組みについて紹介がありました。ブラジル政府の取り組みとしては1)2060年までのカーボンニュートラルの達成、2)グリーンボンドにおける税務免除、3)RenovaBio(カーボンクレジット)政策について説明がありました。また、コロナ禍において日本企業へ実施したアンケート結果を用いて、ESGの導入状況や課題について発表しました。更に、ブラジル企業7社の取り組みに触れ、SDGsやESGへの貢献に積極的な企業として有名なFlueryやSuzanoから、Veja ShoesやMeu Móvel de Madeiraといった比較的新しい会社の事例も紹介しました。最後に、アマゾンや多くの社会的課題が存在するブラジルではESGに関するビジネス機会は多く存在し、多くの企業が既に取り組みを始めている、と締めくくりました。参加者からは「今後もSDGsの最新の取り組み事例を知りたい」、「日系企業の取り組みを更に聞きたい」「現地社員にも共有したい」、「更なる啓発をお願いしたい」等々の好評を頂き、同トピックに対する関心が伺えました。

閉会の挨拶では、ブラジル日本商工会議所環境委員会秋山雄一委員長より、米国でもSDGsを重視するバイデン新政権が誕生し、世界的に更にSDGsへの意識が高まるのではないか、と言及しました。

JICAではブラジルのSDGsへの貢献に向けて、引き続き民間企業をはじめとするあらゆるステークホルダーとの連携を推進していきます。

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セミナーの様子

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JICAブラジル事務所江口雅之所長開会挨拶

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JICAブラジル事務所の発表

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ブラジル日本商工会議所のコンサルタント部会の発表