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2023年、この年は日本とカンボジアの外交関係が樹立されてから70周年を迎えると同時に、JICAカンボジア事務所の設立から30年となる記念の年です。このような重要な節目に、事務所長として赴任できたことを光栄に感じます。

私たちには、これまで様々な協力事業を通じてカンボジアとの友好関係を築くことに貢献してきた自負があります。プノンペンの奇跡と呼ばれた水道事業、紙幣に描かれた二つの橋、20年以上続く民法支援など、世界にも知られる協力事業を手掛けてきました。現在も農業、保健、教育、環境、地方開発など幅広い分野でたくさんの事業を展開しています。

私たちがかくもたくさんの事業機会を得られているのは、長年育まれた信頼関係の賜物だと考えています。プロジェクトの結果を追い求めるだけでなく、その過程でカンボジアの人々と共に未来を考え行動するという姿勢はこれからも変わることはありません。

現在、世界はパンデミック、紛争、気候変動などが絡み合う複合的な危機に直面しており、カンボジアもその影響を強く受けています。この難しい状況は、従前から存在した公共サービスの不足や格差といった国内の課題をより強く認識させるに至りました。同時に、先行きが見通しづらい世界で、資源エネルギーの安定確保やサプライチェーンの再構築といったグローバルな課題にも対応を迫られることになりました。

こうした課題に対応するためには、従来の努力に加えて、新しいアイデアや技術を用いて今までにないソリューションをつくりあげることや、官民が協力してそれぞれの強みをより一層発揮できる環境をつくる必要があります。そのためには誰もが情報を得て、状況を正しく理解できる場も必要となるでしょう。

私たちJICAは、ひとつひとつの事業に誠実に取り組むと同時に、関連する情報や事業機会を広く外に開き、アイデアや解決策を持つ人たちが参画できる環境づくりに取り組んでいきます。私たち自身が情報の起点となって活動を多角的に呼び起こしていくことで、これまで以上に大きなインパクトを生み、持続可能で豊かな社会をつくることに貢献してまいります。

JICAはいつも皆さんの手に届くところにいて共に歩む組織であること、そして日本とカンボジアの絆を深める努力を続けることをお約束します。

讃井一将