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【タイ⇔福井県】人身取引の現状とは?被害者保護センターからのJICAオンライン出前講座-丸岡ロータリークラブ

2024年2月19日、福井県の丸岡ロータリークラブの会員の皆さんに向けたJICAオンライン出前講座が実施されました。参加者20名でした。丸岡ロータリークラブは紛争地域における平和構築の支援、平和と紛争予防/紛争解決に関する研修の開催や難民支援などさまざまな平和活動に取り組んでいます。またタイのカンチャナブリ県にある「生き直しの学校」や、バーンカオ高校への支援活動をしています。講師は、タイの保護施設で活動されているJICA海外協力隊の布施谷夏子さんです。

布施谷さんはタイの東北部のナコーンラーチャシーマー県(通称コラート)という県の人身取引被害者保護福祉センターという施設で活動しています。施設には10代の女性が入所しています。入所している子ども達は約1年前後施設の中で過ごし、家族のもとに戻るか、別の施設へと旅立っていきます。

布施谷さんはこの施設で学習指導を担当されています。子どもたちの中にはほとんど学校に行ったことがなく、タイ語の読み書きや計算が難しい子もいるので、四則計算や時計の読み方、長さや量の測り方など基本的な算数を教えています。また簡単な英語や日本語を教えたり、日本の文化を教える活動もしています。

人身取引は「搾取」を目的とし、暴力等の「手段」を用いて、対象者を獲得するなどの「行為」をすることとされていて、多くの場合その被害者は子どもや女性です。布施谷さんは子どもたちが人身取引の被害にあい、施設に入所する背景には、「貧困」と「貧困による教育格差」があると説明されました。施設の子どもたちの中にも小学校には通っていたが、途中から家の事情や面倒になったなどの理由で行かなくなったケースが多いそうです。

施設に入所している子どもたちは、家族や大切な人に会えないさびしさや将来への不安と闘いながら一生懸命施設で生活しています。普段は、友達と笑ったりおしゃべりしたり、ちょっとふざけたり、歌ったり、おしゃれが大好きなごく普通の女の子たちです。

講義の終了後、参加者からちょうど年度末なのでロータリークラブの方から市内の各学校へ声をかければ使い終わった計算ドリルになってしまうが、寄贈したいとの申し出がありました。(後日80冊以上の計算ドリルの寄贈があったとのことです。)

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人身取引の背景にある、様々な形の貧困とその連鎖

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社会で自立して生きるためには、様々なサポートが必要