jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【フィジー⇔東京都】フィジーのジェンダー問題を考える-中央大学杉並高等学校

2024年8月20日、ジェンダー問題について調べている中央大学杉並高校2年生に向け、JICAオンライン出前講座が行われました。この講座は、「探求」の授業(総合的な学習の時間)の一環として、申込みや事前の打合せも高校生が主体となり、講座実施当日も対話的なスタイルで進行しました。講師は、JICA海外協力隊としてフィジーの女性省で活動する永原朱さんです。

はじめに、フィジーの概要、民族・宗教、食事・服装などについて、色鮮やかな写真を交えてご紹介いただきました。参加者は、南国のフルーツや伝統的な飲み物「カバ」など、日本ではなじみのないものに興味津々!また、フィジー系原住民とインド系住民の間の問題についても説明があり、永原さんのエピソードからさらに理解を深めることができました。

永原さんから参加者に「進路決定にあたって家族はどんな反応だった?」と質問がありました。全員が自分の希望を尊重し応援してくれたと回答。日本では、高校進学の時点では進路選択における男女格差はあまりありません。しかしフィジーの統計データを見ると、教育機会の男女格差がとても大きいのです。女性への暴力も多く、人口90万人の国で学校での性被害は2019年に小学校で26,000件、中学校で2,300件にのぼり、そのうちレイプ(未遂含む)は18%、14%、妊娠件数は3件、101件というデータが紹介されました。被害数の多さや深刻さを知り、参加者はショックを受けた様子でした。動画(ジェンダーに基づく暴力(GBV)の撤廃)を視聴した後、永原さんの活動について紹介がありました。女性省では「ジェンダー平等」「DVの終焉」「女性の社会的・経済的地位向上」を三本柱に活動していますが、根底にある貧困、相談につなげる難しさ、人々の意識など、問題が複雑に絡み合っているそうです。「陽気で楽しそうに見える陰で泣いている女性も多く、心が痛む。少しでも役に立てたら」という永原さんの話に参加者は真剣に耳を傾けていました。

最後に参加者から「印象的な話ばかりだったが、特に性暴力の問題が想像以上に深刻だった」「古い慣習や固定概念で女性が差別されていて、制御する仕組みがないのが問題だと思った」という感想をいただきました。

見たことがない食べ物がたくさん!

見たことがない食べ物がたくさん!

動画の感想を聞かれて「今はうまく言葉にできない」と答えた参加者も。誠実で真剣に理解しようとする気持ちが垣間見えました。

動画の感想を聞かれて「今はうまく言葉にできない」と答えた参加者も。誠実で真剣に理解しようとする気持ちが垣間見えました。