2024年8月4日、愛媛県生涯学習センターが主催・開催するコミュニティ・カレッジの「国際理解講座」の一環として、JICAオンライン出前講座が行われました。コミュニティ・カレッジは、心の豊かさや教養を育み、実社会で必要な知識や技術の習得を目指して運営されています。今回の国際理解講座は、急速に進展する国際化社会において、世界各地域の社会情勢や文化を学び、異文化交流の在り方について考えることを目的としています。この講座には、愛媛県内に在住する24名の受講者が参加しました。講師を務めたのは、インドネシアでJICA海外協力隊員として活動している榊原衣梨さんです。
榊原さんは、インドネシアのメダン観光高等専門学校で日本料理の指導を行っています。インドネシアは、世界で4番目に人口が多い国で、約2億7千万人が住んでいます。そのうちの約80%にあたる2億2千万人がイスラム教徒であり、世界最大のイスラム教国でもあります。榊原さんが活動しているメダン市は、スマトラ島の北部に位置しています。メダンの気候は熱帯で、多くの熱帯フルーツが豊富にあります。特にマンゴーの木は街のいたるところに植わっており、実がなると誰でも自由に収穫できるため、現地の人々にとってマンゴーは「買うもの」ではなく、自然に手に入るものと考えられています。
榊原さんが活動を開始した当初、学校のキッチンでは、調理器具の片付けや清掃などの基本的なルールが整備されていませんでした。榊原さんはその状況を改善することから活動をスタートしました。現在では、キッチンはきちんと整理整頓され、清潔に保たれるようになりました。調理実習では、日本と同じ食材を調達することが難しいため、現地の市場やスーパーマーケットで手に入る食材を使い、日本の学校給食に似たメニューを作る実習が行われています。宗教的な理由から、たとえば生姜焼きには豚肉ではなく牛肉を使います。このように、現地の文化や宗教に配慮しながら日本料理を教える工夫がされています。さらに、日本とインドネシアの食文化の違いも大きく、実習で作った料理に対する学生たちの反応もさまざまでした。たとえば、焼きナスについては「味がしない」と言われ、日本の出汁文化がないことを改めて実感させられたそうです。『つみれ』 に関しては、鶏肉のつみれが好評だったのに対し、魚のつみれはあまり好まれなかったとのことです。
このように、榊原さんは講座を通じてインドネシア生活での様々な発見を紹介してくれました。参加者の皆さんには、インドネシアと日本とでは文化や宗教が大きく違い、また味覚や生活習慣にも違いと魅力があることことが伝わりました。また、海外協力隊の試行錯誤に富んだ活動の様子にも、刺激をもらうことができたのではないでしょうか。
メダン市の特産品
調理実習
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