2024年9月5日、あるヨーロッパの日本人学校の子どもたちのために、JICAオンライン出前講座を実施しました。講師は、ジブチに赴任するJICA海外協力隊(公衆衛生)の吉崎美幸(吉 は正しくはつちよし)さんです。日本人学校からの参加者は、小学校高学年から中学生です。この講座は総合的な学習の一環で、子どもたちが平和な世界や住みよい国を作るにはどうすればいいのかということを知ることを目的としています。
ジブチってどんなところ?私が暮らす街とどうちがう?
ジブチがどこにあるか知っている子どもは多くはありません。当然ながらジブチの日常生活には、日本やヨーロッパとの違いがあります。具体的には、昼間はほとんどのお店がしまっているとか、金曜日と土曜日が休みで、日曜から木曜までが平日とか、地方では、冷蔵庫や水道がない家がほとんどであるなどです。中でもショックだったのは、ジブチの地方に住んでいる子どもたちは栄養バランスの整ったご飯を食べられず、栄養不良になってしまう子どもがとても多いということでした。野菜が週に2日しか売られていない町もあるそうです。いつでもご飯が食べられる日本やヨーロッパでの生活からは、想像するのも難しいことだったのではないでしょうか。吉崎さんはJICA海外協力隊として、保健センターに配属され、病院内の整理整頓や栄養不良時の栄養改善を推進する活動を行っています。看護師なのですが、栄養改善のためにモリンガという植物を使った栄養メニューを考えるなど、現地のニーズを見つけ、工夫しながら活動しています。
国際協力ってなんだろう?
吉崎さんは、国際協力って何だろうと考えることがあるそうです。町では、何台もの救急車が外国から提供されて、その多くが壊れて修理されず使われなくなっているそうです。ジブチの道では車は壊れやすいし、ジブチでは壊れた車を修理するための技術や部品が十分ではないんです。車などの物資を提供することも大切なのですが、壊れたらまた新しい車を提供していては、支援が効果的、持続的とは言えません。吉崎さんは、その国の人たちが、自分たちの力でやっていけるように協力していく必要があると感じています。
言葉に頼らないコミュニケーションの大切さ
吉崎さんが暮らす地域では、たくさんのいくつかの言語が使われています。公用語を覚えても、みんなと言葉でコミュニケーションをとれるとは限りません。だから身振り手振りや、どうにか分かりあおうとする姿勢がとても大切ですし、「伝えたい」「分かりたい」という気持ちは相手に届くということも実感しています。これはジブチだけに言えることではなくて、そのほかの国に行ったときや、日本の中にいても大切なことでしょう。平和な世の中を作るためにはどうすればよいのかという、問いに対するヒントなのかもしれません。
地方では電気や水道のない、質素な暮らしをしている人が多い
壊れてしまい、修理されていないモバイルクリニック
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