2024年10月4日、平群町立平群小学校の4年生42人に、JICAオンライン出前講座を実施しました。水に関する総合学習の一環で行われたこの講座の講師は、ルワンダで活動する浦田菖平さん(コミュニティ開発(水の防衛隊))です。「水の防衛隊」とは、アフリカで「水と衛生」に関する課題に取り組むボランティアのことです。
ルワンダの村の生活
今回の講座は、ルワンダの村のオンラインツアーからスタートです。広い空、土の道路、果物の草木など、見慣れない風景に児童たちは興味津々!さらには、お隣さんの敷地にもお邪魔して、タライを使って洗濯をする様子や、持ち運び式のかまどに火をつけて朝食の準備をする様子を見せてもらいました。水道がない家庭では、水汲みは子どもたちの仕事。学校の時間の前後に20L入りのタンクで家まで運んでいるのだそうです。
国際協力と水の大切さ
大学生の時にフィリピンでのボランティア活動に参加した浦田さんは、特別なスキルがない自分でも、現地の人々と力を合わせて橋を造り、涙を流して喜んでもらえた経験から、国際協力の道を続けようと思ったそうです。卒業後は、故中村哲さんが代表を務めるペシャワール会に参画しました。アフガニスタンは降水量が非常に少なく、2000年には大干ばつがありました。多くの人々が、生まれ育った土地を離れざるを得ない状況を見て、中村代表は「医療や薬では空腹・渇きを救えない」と、医師でありながら自ら用水路の整備を始めたそうです。干ばつで乾いた大地に緑が蘇った写真を見て、児童たちは水の大切さを感じることができました。
五感で体験すること
現在ルワンダで井戸の管理・修理を行っている浦田さんが大切にしていることは、五感で体験すること。現代ではインターネットで調べれば井戸の修理の方法も分かります。「でも、それは本当に理解したことになるのかな」と浦田さんは問います。修理に使う木の棒の重さ、作業中に村人たちと掛け合う声、達成感、翌日の筋肉痛は、体験しないと分かりません。「体験することで、村人の気持ちが理解できたり、信頼関係が生まれたりする」という浦田さんのメッセージは、児童たちにも伝わっていたようでした。
後半は、児童の皆さんから、ルワンダの水資源や水利用、水質や水道の給水方法に関することなど、多くの質問が寄せられました。今回の講座で、平群小学校の皆さんの水に関する学びが更に深まりました。
オンラインツアーでは、お隣さんの敷地にもお邪魔して、村の人々の生活の様子を見ることができました。
浦田さんが現地語名「モガボ」を冠した塾を始めたきっかけは、村の小学生とのケンカ。アジア人差別・からかいを経験し、「自分を理解してもらおうという努力が足りなかったのかもしれない」と考えた結果でした。
scroll