2025年1月31日、広島県立広高等学校のESS部で、JICA海外協力隊員・古谷優衣さん(理学療法士)によるJICAオンライン出前講座が開催されました。古谷さんは「元広高生の私の今:卒業から11年」と題し、自身の経験やフィジーでの生活、国際協力の現場について語ってくださいました。
高校生からの質問と理学療法士としてのやりがい
生徒からは「海外で活動しようと思ったきっかけは?」「大学受験の勉強のコツは?」「もし広高の1年生に戻れるなら何をする?」といった多くの質問が事前に寄せられていました。古谷さんはそれらをプレゼンに組み込み、一つひとつ丁寧に回答してくださいました。「理学療法士のやりがいは?」という問いには、「誰かの目標に向かって進んでいくための伴走者になれること。患者さんなど関わる人と喜びの瞬間を共にできること」と語りました。また、フィジーの基礎情報や食文化、人々の陽気な性格なども紹介され、生徒たちは興味津々で耳を傾けていました。
フィジーでの活動と壁を乗り越えた日々
古谷さんは現地のNGOに所属し、障害を持つ子どもたちへの理学療法の提供、同僚や保護者へのトレーニング、啓発活動を行っています。フィジーには330もの離島があり、医療や福祉が十分に行き届かない地域も多く、巡回指導の“アウトリーチ”活動も重要だと話します。赴任当初は言葉や異文化の壁に直面し、疎外感を覚えた時期もあったといいます。しかし、半年が過ぎた頃には「限られた任期の中で楽しみながら活動しよう」と気持ちを切り替え、積極的に関わることで徐々に現地の人々との信頼関係を築いていきました。
“あたり前”を考える
講座の後半では、古谷さんが生徒たちに「あなたにとっての“あたり前”とは?」と逆質問。日本とフィジーでは価値観が大きく異なります。相手と自分の“あたり前”がずれているとき、どう対応するか?古谷さんは、「相手の文化を知ること」「自分の考えを持ちながら相手を尊重すること」「伝え方を工夫すること」が大切だと話しました。最後の質問タイムでは、「フィジーの学校事情や子どもたちの環境は?」「異文化の中で勇気を出して思いを伝えた際の相手の反応は?」など多くの質問が飛び交いました。
先輩の言葉が高校生の心に響く
海外での経験を通して得た学びを後輩たちに惜しみなく伝えてくれた古谷さん。熱心に質問をする生徒の皆さんの姿が見られ、古谷さんの言葉が多くの生徒の心に響いたことが感じられました。広高等学校からは「事前に質問への回答を準備してくださっていたおかげで、充実した時間を過ごすことができました。グローバルな視点から目的意識を持った話をしていただき、生徒の今後の進路選択において参考になる研修でした」とのコメントをいただきました。
フィジーの興味深い文化を紹介
高校生に「あなたのあたり前とは?」と尋ねます
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