サント・ドミンゴのケーブルカー

ドミニカ共和国の首都サントドミンゴでは、サントドミンゴ首都特別区・東サントドミンゴ市・北サントドミンゴを結ぶテレフェリコ(ケーブルカー)が2018年より開通しており、地下鉄と同一料金(地下鉄から乗り換えも可能)の日本円換算約50円で気軽に乗ることができます。そして、駅構内は子供・お年寄り・障害者の方でも気軽に乗れるようにバリアフリー化が施された、近代的な作りになっています。毎時6,000人の乗客を運べる輸送力を持ち、市民の足・観光として多くの人々が利用しています。

始発駅から勢いよく揺られながら天空に出ると、そこには首都特別区に立ち並ぶ高層ビルを背景に、サントドミンゴでも最大級のバリオ(貧困地区)が広がっています。心地よい風が開いている窓がケーブルカー全体に吹き抜け、車が少ないため基本的には静かで、ケーブルカーに乗っていて時々聞こえてくるのは子供の遊ぶ声と大音量の陽気な音楽、そしてケーブルカーが支柱を通る際の音。目に入ってくるのは、バラック街と至る所に散乱して積もっているゴミ、ゴミ、ゴミ….そしていくつかの天井には貧困やエイズ撲滅を訴える印象的な絵、それと数分まで居た高層ビル群の中心街。1つ目の駅を超えると少し雰囲気が変わり、車のクラクションが増え騒がしくなり、カラフルでかわいい住宅や企業の広告が立ち並ぶようになります。近代的なケーブルカーの設備とその周辺に広がる貧困地区のコントラストはインパクトの強いものでした。

ドミニカ共和国は既に、世界銀行及び国連が規定する一人当たりGNIがUS$ 3,946以上US$ 6,885以下の中所得国に分類され、2018年には経済成長率7%を記録するほどの順調な経済発展を遂げていますが同時に、所得格差・都市と地方の格差が深刻になっています。2016年ドミニカ共和国経済企画開発省の統計によると、貧困層の割合は都市部で26.8%,農村部では38.1%となっており、都市部と農村部で貧困率の大きな開きがあり、ドミ共の大きな課題として残されています。

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ケーブルカーから見た貧困地区の写真

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ケーブルカーの写真