所長あいさつ

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エチオピアと聞いて、何を思い浮かべますか?

マラソン、はだしの哲人アベベ、人類の祖先ルーシー、We are the world…

あまり知られていませんが、エチオピアには世界遺産が9つあります。独立を守ったアフリカの国らしく、どれも自然の偉大さや歴史を感じるものばかりです。ヨーロッパから来る旅行客も、かなりのアフリカ「ツウ」が多いようで、行きついて最後にエチオピア、というシブイ国です。私が個人的に好きなのは、ラリベラの岩窟教会群にある聖ギオルギス教会で、地中に掘られた十字の形をした教会です。今も教会として近隣の信者に利用されている遺産です。

エチオピアは、サブサハラでは唯一文字を持つ国で、暦も独特です。1年は13か月あり、エチオピア歴で今は、2011年6月です(グレゴリオ暦では2019年2月)。エチオピア正教では年に断食が180日ほどあり、基本、毎週水曜と金曜は断食です。人によって異なりますが、一日一食、15時以降に摂食可、動物性タンパクは摂りません。エチオピア時間は、世界標準から6時間ずれていて、エチオピアでAM11時は「5時」と言います。それだけ聞くと、日本と時差がないような気もします。

首都アジスアベバは標高が2350m、富士山5合目ぐらいです。普通に生活していても心肺機能が鍛えられます。人口約330万人。気候は雨季と乾季がありますが、年平均16℃と乾燥した冷涼な気候です。2015年に開通したサブサハラ発のライトレール(路面電車)は、住民の足として活用されており、その他、道路の拡張、ホテルやオフィスビルなど首都は建設ラッシュです。アフリカ連合やアフリカ経済委員会の本部があり、大使館も多いため、国連などからは、「アフリカの政治的な首都」と呼ばれています。

エチオピアの国土は日本の約3倍、内陸国で人口は1億人以上、アフリカの中ではナイジェリアに次ぐ人口規模です。GDPは過去10年間、年平均二桁成長を続けており、この20年間で約10倍に増加しています。2018年に国交断絶状態にあった隣国エリトリアと国交回復したことで、これまでジブチ経由でしか海にアクセスできなかった状況が変わりました。国営企業であるエチオテレコム(通信)とエチオピア航空(運輸)の民営化が発表され、今後、電力や海運物流サービスの株式売却も予定。また、アフリカでは珍しい外国企業向けの工業団地の建設が進み、インド、トルコ、中国などの企業が(約500社)、縫製、皮革、自動車組み立て、食品加工の分野で入ってきており、活気が見られます。

そのような中、エチオピアでJICAは、日本政府の国別援助方針に沿って4つの分野に支援をしています(農業・農村開発、産業振興、インフラ開発、教育・保健)。

農業・農村開発分野では、GDPの約4割を占める農業の成長をさらに加速させるとともに、自然災害に強い生産体制を整えるため、農業生産性向上に加え、市場アクセスの改善やマーケティング支援による小規模農家所得向上など、バリューチェーン全体を視野に入れた取り組みを支援しています。

産業振興では、産業政策対話で得られた指針を踏まえ、カイゼンを主な手法とした形で、行政・産業界における人材育成を推進すると共に、投資環境整備に資する各分野での支援を実施しています。

経済成長の下支えとなるインフラ整備においては、道路、施設などの整備に加えて、マネジメント能力の強化に取り組み、日本の技術を活用し、投資促進につながる運輸交通・都市インフラ、電力、上下水道分野での支援を実施しています。

また、JICAエチオピアでは、隣国のジブチ国を兼轄していますが、東アフリカの物流の拠点であり海賊対策の拠点でもある当地に対して、地域安定化につながる経済社会支援を引き続き、実施していきたいと考えています。

最後になりますが、私たちは、エチオピアのオーナーシップを尊重し、国づくりに向けた自助努力や開発を今後とも支えてゆき、さらなる信頼関係、友好関係の構築に貢献していきたいと思います。

また、エチオピアに本部を置くアフリカ連合との対話を促進し、アフリカ大陸の総意に沿った経済協力を進めるべく、アフリカ各国のJICA事務所にも働きかけていきたいと考えています。

エチオピア事務所長 晋川 眞