jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

2025年10月より、JICAエチオピア事務所の所長として着任いたしました薬師弘幸と申します。

エチオピアは、アフリカ東部に位置しており、人口約1億2千万人を擁し、古代文明の歴史を持ち、独自の言語、暦、文化を育んできた国です。また、アフリカ連合(AU)の本部が置かれており、地域の政治・経済においても重要な役割を担っています。

日本からは、東京(成田)と首都アディスアベバを結ぶ直行便が運航されており、時差も6時間と比較的少なく、実は日本にとって「遠いようで近い国」と言える存在です。こうした物理的・時間的な距離の近さは、両国の交流をさらに深める可能性を秘めています。コーヒー発祥の地としても知られるエチオピアでは、伝統的なコーヒーセレモニーが人々の暮らしに深く根付いています。日本でもエチオピア産のコーヒーは高品質なアラビカ種として広く親しまれており、両国の文化交流の一端を担っています。さらに、エチオピアと日本の関係は古く、1930年代には両国間で友好通商条約が締結されました。日本の皇室にエチオピア皇帝からライオンが贈られるなど、外交的にもユニークな歴史を有しています。

薬師弘幸

私は2006年から2008年にかけて、事務所員としてエチオピアに赴任しており、今回の着任は約20年ぶりの再赴任となります。当時の記憶を胸に、再びこの地に立てることを大変光栄に感じております。

この20年間で、エチオピアは目覚ましい変化を遂げました。インフラ整備の進展、都市の拡大、教育や保健分野での改善など、国の発展を肌で感じる一方で、経済・社会の面では依然として複雑な課題も抱えています。しかし、こうした変化の中にあっても、エチオピアの人々が持つ心の温かさ、誠実さ、そして日々の生活に真摯に向き合う勤勉さは、私が20年前に感じたものと変わることなく、むしろ一層深く心に響いています。再びこの国の人々と共に歩めることに、深い感謝と喜びを感じています。また、エチオピアが持つ若く活力ある人口、広大な農地と多様な気候帯、多様な文化は、さらなる発展に向けた大きな可能性を秘めています。中東・ヨーロッパに近接する戦略的な地理的位置も、地域経済のハブとしての役割を果たす可能性を持っています。

JICAは、これまで以上にエチオピアの持続可能な発展に貢献すべく、現地のニーズに寄り添いながら、民間企業、NGO、大学・研究機関、他ドナー等の多様なパートナーとの連携を強化し、包括的な協力を推進してまいります。特に、農業や産業振興を中心とした強靱な経済構造の構築、人的資源の開発、平和と安定の促進、社会サービスや生活の質の向上、気候変動へのレジリエンス強化などを通じて、エチオピアの課題解決に向けた協力を一層強化し、人間の安全保障の実現に寄与してまいります。

また、日本国民とエチオピア国民との間に築かれてきた信頼関係をさらに深めることも、私たちの重要な使命です。人と人とのつながりを大切にし、相互理解と尊重の精神のもと、両国の架け橋となるよう努めてまいります。

2025年10月
JICAエチオピア事務所長 
薬師 弘幸