ボランティア

1)ボランティア事業の現状

1965年の青年海外協力隊事業開始以来、JICA海外協力隊は開発途上国の草の根レベルで支援を行ってきました。エチオピアでは、1972年の青年海外協力隊(以下、協力隊)の派遣から始まりました。2003年にはシニア海外協力隊が派遣され、現在まで累計約700名以上が派遣されています。これらのボランティアは基本的に2年間現地のコミュニティに入ってエチオピア人と同じ生活を過ごし、活動を通じて自立心と途上国の現状を自分のこととして受けとめる姿勢を養います。

2)ボランティア活動の変遷とこれからの展望

(1)派遣当初 1972年から1981年

1972年(昭和47年)の派遣当初は、天然痘監視員、自動車整備など職業訓練を中心に協力隊が派遣されました。天然痘監視員については、2代4年続いた後、天然痘撲滅と時期を同じにして派遣が終了しました。また、農業、野菜、土木といった第一次産業の現場型の派遣が多くみられました。

(2)派遣10年後 1982年から1991年

派遣開始後に比べ、地方部への派遣が広がりました。農業、土木関係のほか、保守操作などのインフラに関する技術者育成分野への協力隊派遣が増えました。
この時代1985年の東北部の干ばつ・大飢饉での混乱、1991年の社会主義政権崩壊時の混乱から1991年3月末にケニアへの一時退避、その後約半年間派遣見合わせを行った時期でもあります。

(3)派遣20年後 1992年から2001年

1992年に協力隊派遣が再開されたのを受け、暫くは首都のみの派遣でした。職種も農業、土木、保守関係が主でしたが、コンピュータ技術、数学教師などの教育部門と公衆衛生、看護師、薬剤師の保健分野への派遣が開始されました。また、北部における緑のプロジェクトに関連した植林、地下水開発、自動車整備、村落開発などJICAプロジェクトと連携した派遣も開始されました。

(4)派遣30年後 2002年から2011年

エチオピアの国家開発戦略や日本国での状況を反映し、理数科教師やICTのみならず、体育、幼児教育分野など、教育関連への派遣が本格的に開始されました。また、観光、料理、市場調査などの観光促進などへの派遣も行われました。そして、受入省庁やJICAプロジェクトなどとの穏やかな連携が定着し始めました。
2003年にはシニア海外協力隊の派遣が開始され、日本の経済発展に尽力した経験を活用できるよう、主に技術者育成分野への活動が開始されました。

(5)派遣40年後 2012年から2022年

2016年にアムハラ州、オロミア州を中心に激化した反政府運動を受け、これまでボランティアの主な活動地域であった両州への派遣を一時的に見合わせています。
2017年以降は首都のアディスアベバ、南部諸民族州、ティグライ州及びディレダワ特別市で40名-60名程度のボランティアが活動を行いました。これまで主流の教育分野に加え、スポーツ・フォー・トゥモローに協力した体育・スポーツ職種の拡充を図りました。
終了したJICAプロジェクトの成果拡大を行うため、一村一品運動を支援するコミュニティ開発や観光、理科教育のグループ派遣、安全な水へのアクセスや衛生対策分野へのボランティアの派遣も開始されています。
2020年3月、コロナウイルスによりボランティアの一斉退避を行って以降、内戦の影響もありエチオピアへの協力隊渡航再開は保留されたままとなっていますが、現在再開に向けて準備をしています。

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エチオピア・スポーツアカデミーで自転車競技を指導する協力隊員(左端)

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幼稚園児にエチオピア人同僚と一緒に折り紙指導する幼児教育隊員(中央左)

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理科実験をエチオピア人教員と一緒に指導する理科教育隊員(中央右)

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複数の協力隊員が協力して幼稚園での衛生教育指導を実施中

3)ボランティア活動関連リンク