インドネシアと日本は、民主主義や人権、市場経済といった基本的価値観を共有する重要なパートナーです。外交や、貿易・投資等の経済分野における両国の深い結びつきのみならず、幅広く国民レベルにおいても友好関係を維持しています。

JICAにとっても、インドネシアは最も長い協力の歴史を持つ国の一つです。円借款や無償資金協力等の資金協力や、専門家派遣や研修、ボランティア派遣等の技術協力を通じ、インドネシアの開発課題の解決と経済・社会開発のために、インドネシアとの協力を行ってきました。これからもインドネシアの経済・社会の発展と安定、そして人々の生活の向上に貢献できるよう、インドネシアの人々や多様な関係者と共に考え、共に歩みながら、協力を行っています。

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近年、インドネシアは着実な経済成長を実現しており、一人当たりGDPは4,000ドル程度と過去20年の間に4倍に増加しました。他方、大都市での渋滞の激化、ゴミや水などの環境問題の深刻化、地域格差の拡大などが進み、特に近年は気候変動への対応として、災害への備えの強化、脱炭素化・エネルギートランジションといった課題も出てきています。また、最近ではカリマンタンへの新首都移転について国家を挙げて取り組んでおり、現在政府コアエリアと呼ばれる地区を中心に基礎インフラ建設が急ピッチで進められています。これらの課題に対して、JICAは、ジャカルタでのMRTや下水事業、離島など地方での漁業活動、再生可能エネルギーやCO2の大きな排出源となっている泥炭地の管理など、これまでの幅広い分野での協力の経験と教訓を生かしながら、協力に取り組んで参ります。

インドネシアはグローバルサウスの代表格であり、この成長が続けば2050年には日本を超える世界第4位の経済大国になるとも言われます。日本にとって益々重要な国となり、インドネシアが日本を大切と思い続けてもらえるような協力、今後様々な課題に直面する日本にとっても意義の高い協力、そういう取組が求められていると思います。
JICAは、これまでの長い協力の歴史の中で育んできたインドネシアの人々や様々な関係者との信頼を礎に、さらにその信頼を一層強固なものとできるよう、そしてインドネシアと日本の人々の間の理解と友好がさらに深まるよう、業務に取り組んで参りたいと思います。

インドネシア事務所長
安井 毅裕