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仏語圏アフリカの魅力

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SDGs

2025.03.27

サムネイル
アフリカ部アフリカ第四課課長 加藤 浩一

私は2002年にJICAに入構してからフランス語を学び始め、これまで仏語圏アフリカと呼ばれる地域を主な舞台として仕事をしてきました。今回、仏語圏アフリカの魅力をご紹介したいと思います。

アフリカの人口とその成長

アフリカには、54の国があり、人口は約15億人【関連リンク1参照】と言われています。この人口は、2050年には約25億人へと増加し、世界人口に占めるアフリカ人口の割合は25%を超えると予測されています。平均年齢は約25歳と若く、アフリカの若者の存在感は今後さらに大きくなるでしょう。

仏語圏アフリカとは?

そのような人口拡大の方向にあるアフリカの中に仏語圏アフリカもあります。しかし、仏語圏アフリカとはどの地域を指すのかという具体的な話になりますと正確にお伝えすることは難しいように思います。

例えば、アフリカにはフランス語を公用語とする国は19か国あります。しかし、フランス語を公用語にしていない国でも、行政の使用言語をフランス語としている国もあり(例えば、ブルキナファソ)、より広い視点で仏語圏アフリカを捉える必要がありそうです。

フランス語が広く話されていない国でも、民主主義や人権といった普遍的な価値観やフランス語を共有する国・地域の総体である「フランコフォニー国際機関」に加盟している国もあります。アフリカでは31か国が加盟しており、その人口は約5億人、2050年には約9億人に達するとの分析もあるようです。なお、フランス語を実際に話している人口となりますと、現在世界では約3億人強と言われていますが、フランコフォニー国際機関加盟国のすべての国民がフランス語を話すわけではありません。

例えば、最近フランコフォニー国際機関に正式加盟したガーナでは、現在フランス語を話す人口の割合は約1%です。将来的には、隣国コートジボワールなどの仏語圏の国々との交流を通じ、フランス語を話す人の割合が増えていくかもしれません。

ある仏語圏アフリカの国で撮った集合写真:中央が筆者。

仏語圏アフリカの特色・魅力

仏語圏アフリカの特色・魅力の1つとして、やはりフランスの影響が挙げられます。身近なところでは食文化、そして行政制度にまでその影響を見ることが出来ます。

●食文化の影響

どの仏語圏アフリカに行っても食事が美味しいです。フランスパンは、安価においしいものがすぐに手に入ります。フランスワインも浸透していて、フランス料理のレストランがない国はないと言っても過言ではありません。

仏語圏アフリカの伝統的な料理も大変美味しいです。セネガルのチェブジェン、コートジボワールのアチェケは、ユネスコの無形文化遺産に認定されているほどです。ただ、これがフランスの影響も受けて発展していったのかまでは分かりません。

コートジボワールに出張する際にはアチェケを頂く機会もあり、キャッサバからつくられるアチェケと魚や鶏肉等にソースを付け合わせた料理は大変美味しいです。皆さんも機会があれば是非食べてみてください。

コートジボワールの代表的食材:アチェケ

●行政制度の影響

仏語圏アフリカは行政制度においてもフランスの影響を受けています。
行政文書は基本的にフランス語の典型的な行政文書の様式に基づいて作成されることが多いです。

政府の体制もフランスの体制に類似しており、例えばフランスには国務大臣という役職があり、一般に首相の下、大臣の上にランクされる役職ですが、仏語圏アフリカでも主要な大臣ポストには国務大臣の肩書が付与されているケースをよく見かけます。
このようにフランスの影響を受ける仏語圏アフリカですが、フランスの影響やアフリカの独特さ、これら2つの要素の融合部分を見つけることも面白味の一つだと思います。

仏語圏アフリカのフランス語

●フランス語の訛りと違い

私は、フランスに留学した経験はなく、フランス語は2度勤務したセネガルで覚えました。そのため、フランス語にセネガル訛りがあると指摘されることがあります。

仏語圏アフリカのフランス語には特有の訛りがあり、国ごとに訛りが異なるように感じています。勿論、人によって訛りの度合いは違うのですが、この訛りを聴くことだけでも仏語圏アフリカで働く面白味の1つとも言えます。今では、フランス語の発音を少し聞くだけでも、セネガル人、ブルキナファソ人、カメルーン人と推測できるようになりました。

●フランス語の使い方の違い

また訛りだけではなく、言葉の使い方にも違いがあるように思います。例えば、「ボンソワール(Bonsoir)」という言葉は、「こんばんは」という意味で、ご存じの方も多いと思います。日本で育った私としては、夕日が落ちて暗くなった時間以降、人と会った場合には「ボンソワール」と言うとの感覚が染みついています。フランスでも同様のようです。

これが仏語圏アフリカのブルキナファソに行きますと、昼の12時を過ぎお昼休み明けに人と会う場合、ほぼ確実に「ボンソワール」と挨拶します。太陽が強く照らす中、「ボンソワール」と言うことに最初は戸惑いましたが、今では「郷に入れば郷に従え」ということで、大きな声で真昼間から「ボンソワール!」と挨拶するようにしています。

このような例を見るだけでも、フランスと仏語圏アフリカの近さと遠さとを感じることができます。また仏語圏アフリカで出会う一人一人の個性やバックグラウンドによっても例外的な場合もあり、それがまたこの地域の魅力として感じられます。

日本ではフランス語よりも英語の方が身近な外国語かもしれませんが、皆さんにとってフランス語や仏語圏アフリカという切り口からアフリカを感じる機会となったならば大変嬉しいです。

よく意見交換したセネガル保健省次官(当時)とセネガル離任時に撮った写真

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