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四国のど真ん中にある小さな山あいの町の活性化と国際協力の推進を目指して ―自治体×大学×JICA の連携―

#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2026.08.28

サムネイル
四国センター地域連携アドバイザー、 仁田知樹

四国の小さな山あいの町 と 大学 と JICA

高知県本山町(もとやまちょう)は、四国のど真ん中に位置し、周囲を急峻な山々に囲まれた人口3千の小さな町。人口減少と少子高齢化が進む典型的な中山間の町です。

10年近くも前からこの本山町をフィールドとして地方創生に取り組んできた高知大学からJICAに声がかかったのは3年前のことでした。話が進み、本山町の地域活性化と国際協力の推進を目指して「本山町×高知大学×JICA四国」の三者による連携覚書が結ばれたのが一昨年(2024年)の9月。覚書には、連携協力の内容として「地域の国際化」や「国際人材の育成」などが書かれています。

四国のど真ん中に位置する本山町

本山町の中心市街地

三者による連携覚書の締結(2024年9月)

この三者覚書のもとで、JICAが途上国から受け入れる農業分野の研修員を本山町に招いて技術研修をしたり、JICA海外協力隊の派遣前訓練の一環として協力隊候補生が本山町でまちおこしの活動を体験したりと、「国際」の視点を取り入れたさまざまな取り組みを行ってきていますが、本稿では、本山町の「南米移住の歴史」に依拠したJICAの活動について紹介します。

JICA研修員の農業研修(本山町にて)

本山町は「アマゾン日本植民の父」のふるさと

アマゾン日本植民の父 﨑山比佐衛氏(写真出展:海外移住資料館だより 第48号)

「地域の活性化とは、そこに住む人たちが地域に誇りをもつこと」という高知大学の先生のひとことをきっかけに私たちが着目したのが、本山町の南米移住の歴史です。
実は本山町は、アマゾン開拓に尽力し「アマゾン日本植民の父」と呼ばれた﨑山比佐衛(さきやま ひさえ)さん(1875-1941)という偉人を輩出しているのです。﨑山さんは、18歳で北海道移民団に参加し、その後日本人の海外進出のための指導者育成を目的として東京に海外植民学校を創設。57歳で自らも南米ブラジルに移住し、アマゾンの開拓に貢献しました。当時本山町からは、﨑山さんに続いて多くの人たちが南米に渡っています。

南米移住の歴史を本山町の誇りに ―三者覚書のもとでの取り組み―

こうした南米移住の歴史を本山町の誇りとして見つめ直し、これを地域の活性化・国際化に繋げようと、覚書を結んだ三者によって「南米移住の記憶から未来へ 本山町×ブラジル交流プロジェクト」の実施が合意されました。このプロジェクトのもとで一連のシリーズとしてこれまでに取り組んできたのが次のイベントやプログラムです。

JICA横浜センターの海外移住資料館が所有する南米移住関連の写真パネルを、本山町の公民館施設で展示。町内外から多くの人たちが観覧に訪れました。

南米移住パネル展

南米移住パネル展

南米移住に関する公開セミナーを本山町で開催。セミナーでは、﨑山比佐衛さんの姪が、比佐衛さんの足跡について語ったり、JICAの研修員として高知大学に留学中のブラジル人日系三世が、現在の南米日系社会や日本への思いを語ったり。町内外から来場した約40人の聴衆は二人の興味深い話に聞き入っていました。

﨑山比佐衛さんの足跡を語る親族

高知大学と交流のある南米日系移民の研究者が本山町に来訪。「﨑山比佐衛が夢みた理想郷マウエスを訪ねて」と題して、﨑山さんが赴いたアマゾンの入植地マウエスの過去と現在を現地の写真や動画映像とともに生き生きと紹介しました。来場者した約40人の町民の方々にとって、郷土の先人が成し遂げた偉業を詳細かつ身近に感じる貴重な機会になったようです。

本山町の人たちに海外移住について知見を深めてもらうなら、JICA自慢の施設・横浜海外移住資料館を訪ねてもらおう、ということで、未来の本山町を担う中学生を対象に横浜スタディーツアーを実施しました。

ツアーには本山町唯一の中学校・町立嶺北中学校の生徒8人が参加。これに教育長など本山町の関係者や高知大学、JICA四国の関係者が同行しました。

海外移住資料館の見学

「移民かるた」によるワークショップ

このツアーのために資料館が特別に用意した研修プログラムでは、館内見学による学習に加え、日系移民史の研究者による、紙芝居や「移民かるた」を使ったワークショップなども行なわれ、生徒たちは日本人の海外移住の歴史について楽しみながら熱心に学んでいました。

また、資料館から外にも飛び出し、横浜大さん橋や横浜税関など、日系移民が横浜港から旅立ったことを物語る施設・史跡を巡るフィールドワークも堪能しました。

ツアーを終えた生徒たちからは、「今回の学びを自分たちが次につなぐことが大切だと思った」などの声も。彼らが将来、本山町の活性化・国際化を担ってくれることに期待したいと思います。

横浜の街を巡るフィールドワーク

南米移住の歴史にまつわる本山町の地域活性化プログラムは、まだまだこれからも続きます。

「町民の間で、世界や国際協力のことが身近な存在になってきている」

これは、本山町役場の担当者の言葉です。
自治体、大学、JICAの三者連携のもとで企画したイベントやプログラムに参加した町民からの声を踏まえての言葉なのでしょう。
「国際」の視点を入れながら取り組んできた諸事業で目指しているものが、町民の方々に届き始めていることの現れなのかもしれません。
とりわけ、南米移住に関連した活動は、本山町の人たちが郷土に誇りを持ち、世界の動きや国際交流への関心を高める大きなきっかけになったものと思います。

JICA四国は今後もこの三者連携のフレームワークのもとで、JICAがもつさまざまな経験やリソースを活用して、本山町の活性化・国際化と国際協力の推進を目指して活動を続けてまいります!

本山町の観光・農業(ブランド米作り)の拠点 吉延(よしのぶ)の棚田

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