北岡理事長が「岡本行夫JICA特別アドバイザー追悼記念シンポジウム—海図なき世界、日本の進むべき道を考える—」(4月29日)に登壇

2021.04.30

北岡伸一JICA理事長は、JICA主催(株式会社岡本アソシエイツ協力)の「岡本行夫JICA特別アドバイザー追悼記念シンポジウム—海図なき世界、日本の進むべき道を考える—」(4月29日開催)に登壇しました。シンポジウムの様子は、YouTube LIVEにより配信されました(アーカイブ動画も掲載中。リンクは文末をご参照下さい)。シンポジウムの概要は以下の通りです。

米国、沖縄からのオンラインでのご登壇者を含め、生前の岡本氏をよく知る方々により、同氏の功績や人としての魅力を掘り下げ、岡本氏が目指した世界、日本が進むべき道を考察する議論が行われました。

1. 開会挨拶

冒頭、北岡理事長は、岡本氏との交流、サブサハラ訪問を含めた岡本氏とJICAとの関係に触れつつ、シンポジウム開催の意義(①日本のあるべき姿を考えること、②人間「オカモト・ユキオ」から学ぶこと)を説明。岡本氏について、リアリストで現実的な安全保障のあり方を提言され続けたが、安全保障能力の向こうには生身の人間がいることを決して忘れることがないヒューマニストでもあったと紹介しました。

2. 講演

佐々江賢一郎 日本国際問題研究所理事長は、外務省の後輩として、岡本氏の外交官、経営コンサルタント、外交評論家、作家、教育者、写真家などの多様な顔を紹介されました。岡本氏が最後まで執筆していた自叙伝では、「誇りに満ちた国を作ってほしい」という日本の若者への願いが綴られていることも紹介されました。

3. 第Ⅰ部 パネル・ディスカッション①: 「海図なき世界、日本の進むべき道を考える」

パネリスト(リチャード・L・アーミテージ 元米国務副長官、佐々江氏、宮家邦彦 立命館大学客員教授、北岡理事長)から、岡本氏との出会いや親交を紹介した後、中国-米国-日本、中東-米国-日本の関係を岡本氏がどう見ていたのか、日本の進むべき道などについて意見交換がなされました。日本が進むべき道として、信頼に基づく強固な日米関係や、平和享受のために日本国民がリスクをとる覚悟を持つことの重要性などが指摘されました。フランク・ヘルミック 元米国陸軍中将からのビデオメッセージでは、小泉政権の首相補佐官(イラク復興担当)時代の、イラク復興に対する岡本氏の強い思いと行動が紹介されました。

4. 第Ⅱ部 ビデオメッセージ②

長田豊臣 学校法人立命館前理事長、リチャード・サミュエルズ MIT教授、ジョセフ・ナイ ハーバード大学特別功労教授、秋葉剛男 外務事務次官からビデオメッセージが寄せられました。

5. 第Ⅲ部 パネル・ディスカッション②: 「一番重要なのは『他人への優しさ』」

ジョン・ルース 元駐日米国大使、前泊博盛 沖縄国際大学大学院教授、佐々江氏、宮家氏、北岡理事長がパネリストとして、人間「オカモト・ユキオ」の思想や行動に焦点を当て、岡本氏が深くかかわってきた沖縄基地問題、東日本大震災、国際協力について議論がなされました。議論を通じ、日本が直面した難題に第一線で取り組み、功績を残した岡本氏は、深い知識や豊富な経験に裏打ちされた卓越した外交力だけでなく、生身の人間一人ひとりと対話をし、理解・共感する情熱と、粘り強い実行力を持つ人間であったことが振り返られました。

パネル・ディスカッションの途中、岡本氏とともに「希望の烽火基金」による東北の漁業再開支援に尽力した小泉進次郎 環境大臣と、女川町「希望の烽火基金」関係者からのビデオメッセージが紹介され、東北支援に尽力された岡本氏のためにも頑張って恩返ししていきたいとの強い決意のメッセージが届けられました。

北岡理事長は、岡本氏の近著『日本にとって最大の危機とは?』に触れ、日本の若者が自らに枠をはめて挑戦しないことが日本の最大の危機であると指摘し、その克服のために、まず「バッターボックスに立て」、自らがトップリーダーであれば、どう判断、行動するかの訓練を重ねるよう基礎教育から積み重ねていくことで、リーダーが育つ、と言及しました。

6. スライド・ショー: 岡本行夫と海・自然:書籍『ハンスとジョージ』をもとに

パネル・ディスカッション後、海と自然を愛する水中写真家・小説家でもあった岡本氏に対し、エジプト駐在以来約40年に亘る友人のサミール・アジス氏、水中写真家の中村征夫氏からのメッセージとともに、フォト小説『ハンスとジョージ』が紹介されました。

7. クロージング

最後に、岡本アソシエイツ代表の岡本康夫氏(岡本氏の実弟)より謝辞が述べられました。問題に直面すると、論理的分析だけでなく、相手の心・感情を理解して解決の糸口を見つけて行くのが岡本行夫氏の生き方であり、多くの人にとって、そうした彼の生き方がヒントとなり、よりよい日本・世界につなげていくエネルギーとなれば本人も喜ぶであろう、と述べられ、閉会しました。

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