国際緊急援助隊救助チーム 実践的な総合訓練を2年半ぶりに兵庫県にて実施

2021.11.17

国際協力機構(JICA)は、海外の大規模災害に対して派遣される国際緊急援助隊(JDR:Japan Disaster Relief Team)救助チームの実際の捜索活動を想定した実践的な総合訓練を11月1日から同3日まで兵庫県広域防災センターを主会場に実施しました。
JDR救助チームはINSARAG(国際捜索救助諮問グループ)により2010年に最上級のヘビーチームとして認証、2015年に再認証を受けています。
本訓練は大地震災害で倒壊した建物に取り残された人々の捜索・救助を行う救助チームの即応力の向上と国際基準で定められた捜索・救助手法を実働で確認することを目的として実施されました。
訓練に参加した隊員74名及び救助犬4頭は、実派遣を想定したシミュレーション訓練として11月1日の朝に成田空港を想定した神戸市内施設に参集、2陣に分け出発、被災国を想定した兵庫県広域防災センター(三木市)に到着後、現地災害対策本部での状況聴取を皮切りに捜索・救助活動対象区画の特定(ASR2活動:注)を開始する等、48時間連続で活動にあたり、計11名の要救助者と犬1匹を救出、ご遺体2体を収容しました。
警察庁、消防庁、海上保安庁から構成される救助隊員は救助犬及びハンドラーと連携し、被災者の捜索から建物への進入、救出にいたる捜索・救助活動を展開。ガレキと化した倒壊建物の中から生存者(要救助者)を短期間で特定する訓練等は、被災建物を模した構造物が点在する訓練施設を使用し、可能な限り実践的な環境下で行われました。
団長、副団長等からなる指揮本部では、救助活動方針、安全管理計画の策定や他国救助チームとの活動調整など国際連携を実施し、JICA職員等からなる業務調整員は宿営地の設営、物品調達・輸送、食事の準備、国際調整支援などロジスティクスを担いました。
また、救助隊員と医療隊員とによる救命活動、構造評価専門家との協働による建物安定化等の安全性確保、通信等、JDR救助チームを構成する 各役割の隊員が一体(ONE TEAM)となって実践的な訓練を行うことにより、それぞれの特性を活かすとともに、チーム内外の円滑なコミュニケーションに努めることでチームの総合力強化を図ることができました。
新型コロナウイルスの感染拡大により2020年3月に予定していた総合訓練の中止以降、機能別にそれぞれ訓練を重ね、前回訓練(2019年3月)以来約2年半ぶりの総合訓練実施に備えてきました。
来る2022年11月にはINSARAGによる外部再評価(IER)が予定されており、JICA国際緊急援助隊事務局は今回の訓練の成果を踏まえ、より充実した、高いレベルでの救助チームづくりのための取り組みを推進してまいります。

活動拠点(BoO:Base of Operations)から現場に向かう救助隊員

マンションから落下した要救助者をロープにて引き上げて救出

救助犬とハンドラー

指揮本部で対応を検討する幹部(左)及び国際連携を行う業務調整員(手前)

【注】
ASR2:INSARAGガイドラインで規定された5レベルのASR(Assessment, Search and Rescue) 活動のうち、2段階目に該当するSector Assessmentであり、救助を必要としている方がいる可能性がある現場を特定するための活動。

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