国際緊急援助隊救助チーム INSARAGによる外部再評価(IER)受検に向け総合訓練を兵庫県にて実施

2022.05.20

国際協力機構(JICA)は、海外の大規模災害に対して派遣される国際緊急援助隊(JDR:Japan Disaster Relief Team)救助チームの実際の捜索活動を想定した実践的な総合訓練を昨年11月に続き、5月11日から同13日まで兵庫県広域防災センター及び三木総合防災公園を主会場に大雨に見舞われる悪条件の中で実施しました。
JDR救助チームはINSARAG(国際捜索救助諮問グループ)により2010年に最上級のヘビーチームとして認証、2015年に再認証を受けています。同認証の更新期にあたる本年は11月にINSARAGによる外部再評価(INSARAG External Re-Classification/IER)の受検が予定されていることから、長年にわたり技術的な指導を仰いでいる米国の指導者(メンター)他、2名の同国救助隊員を招へいしての実施となりました。
総合訓練は大地震災害で倒壊した建物に取り残された人々の捜索・救助を行う救助チームの即応力の向上と国際基準で定められた捜索・救助手法のIER受検に相応しい熟練度の確認を目的として実施されました。
訓練に参加した隊員74名及び救助犬4頭は、5月11日の朝に成田空港を想定した神戸市内施設に参集・出発、被災国を想定した兵庫県広域防災センター(三木市)に到着後、現地災害対策本部での状況聴取を皮切りに、活動の拠点となる宿営地の設営、捜索・救助活動対象区画の特定(ASR2活動:脚注参照)を開始する等、48時間連続で活動にあたりました。
警察庁、消防庁、海上保安庁から構成される救助隊員は救助犬及びハンドラーと連携し、被災者の捜索から建物への進入、救出にいたる捜索・救助活動を展開。ガレキと化した倒壊建物の中から生存者(要救助者)を迅速に特定する訓練等は、被災建物を模した構造物が点在する訓練施設を使用し、実践的な環境下で行われました。
団長、副団長等からなる指揮本部では、救助活動方針、安全管理計画の策定や他国救助チームとの活動調整など国際連携を実施し、JICA職員等からなる業務調整員は宿営地の設営、物品調達・輸送、食料の配給、国際調整支援などロジスティクスを担いました。
また、救助隊員と医療隊員による救命活動、構造評価専門家との協働による被災した建物の安定化等安全性確保、通信等、JDR救助チームを構成する各役割の隊員が一体(ONE TEAM)となって実践的な訓練を行うことにより、それぞれの特性を活かし、チーム内外の円滑なコミュニケーション(多機能連携)に努めることでチームの総合力強化を図ることができました。
JICA国際緊急援助隊事務局は今回の訓練の成果を踏まえ、再認証されるに相応しい、高いレベルでの救助チームづくりに取り組んでまいります。

脚注1 ASR2:INSARAGガイドラインで規定された5レベルのASR(Assessment, Search and Rescue) 活動のうち、2段階目に該当するSector Assessmentであり、救助を必要としている方がいる可能性がある現場を特定するための活動。

救助活動訓練の様子(重量物除去に伴う、アンカーボルトの事前設置作業)

がれきの中で要救助者の生命を維持するために輸液を行う訓練

他国救助チームとの活動調整を行う国際調整の訓練

宿営地での業務調整員(JICA)による食事提供

米国チームの指導者に訓練を視察いただき、本年11月のIER再認定に向けて有益な助言を得た。

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